認知症の前段階・初期症状:MCI

 

認知症の初期に見られる症状

認知症とは、いったん獲得した知的機能が脳の障害によって持続的に低下するのが原因で記憶や行動の障害がおこり、家庭生活や社会生活に支障をきたすようになった状態(自立した生活が困難となり、人の手を借りなくてはいけなくなった状態)です。単なるもの忘れイコール認知症ではないのです。

ここで言う「支障をきたすようになった状態」とは、例えば、お金や薬の管理ができなくなり家族の手助けが必要になった状態、あるいは入浴、食事に介助が必要になった状態などを指しますが、これらは認知症がある程度進行した段階で見られる症状であり、ごく初期には見られないことが多いのです。より早期に見られるエピソードとしては、判断力が鈍くなった、時間(日付、曜日)を間違えた、重要な約束をすっぽかした、料理の味付けがおかしくなった、鍋を何度も焦がした、仕事の効率が明らかに落ちた、長年の趣味をやめてしまったなどがあります。

こうした変化は本人は気づきにくく、家族が発見して相談に来られることが多いです。この時点ですぐに対応し、治療開始することが、その後の症状の進行を遅らせるために重要です。

MCI(軽度認知機能障害)とは

MCI(軽度認知障害)とは加齢のみでは説明しにくい記憶障害があるものの、日常生活には支障をきたしていない状態のことです。認知症で最も頻度の高いアルツハイマー病では、発症する20年以上も前から、原因物質であるアミロイドベータペプチドが脳に徐々に蓄積しはじめます。この段階がMCI(軽度認知障害)に相当します。

蓄積したアミロイドベータペプチドは脳の神経細胞に障害を与え、認知機能を担っている神経回路の働きを阻害します。人間の体には、このアミロイドベータペプチドが脳に蓄積しないように、脳脊髄液を介して血液中に排出させるシステムが備わっています。具体的には脂質代謝に関連するアポリポタンパク質や免疫に関連する補体タンパク質がこの役割を果たしています。これらのタンパク質の血液中の濃度を調べることで、MCI(軽度認知障害)のリスクを判定することができます。(次項参照)

MCIスクリーニング検査(認知症健診)

認知症は早期発見・早期治療が重要で、認知症の予備軍であるMCI(軽度認知障害)の段階から対策を講じる必要があります。

当院では、このMCIを早期に診断するための「認知症健診」をお勧めしています。

もの忘れが気になり始めた方、御両親の認知症が心配な方はお気軽にご相談ください!

基本コース 料金:3,300円(税込み)(検査結果に関するカウンセリング料を含む)

2種類の認知機能検査(モントリオール認知評価検査・改訂長谷川式認知機能検査)によって、認知症になる前の軽度の認知機能低下も判定できます。

基本コース 料金:27,500円(税込み)(検査結果に関するカウンセリング料を含む)

基本コースに加えて、血液中の認知症マーカー(前項参照)を測定することにより、さらに詳しい判定が可能になります。

オプション検査 アポリポ蛋白E(apoE)の遺伝子検査* 料金:14,300円(税込み)

※ 高齢者の認知機能低下に関与するといわれている重要な遺伝子の一つがアポリポ蛋白E(apoE)の遺伝子です。この遺伝子にはε1〜4の4種類があります。apoEはアミロイドベータペプチドに結合して、脳への蓄積を防ぐ作用を持っていますが、ε4の遺伝子型を持つ人では、apoEのこの作用が弱いために、認知症発症ののリスクが高まることがわかっています。この場合には、より早期から発症予防策を講じる必要があります。

MCI(軽度認知機能障害)と大人の発達障害

大人の発達障害と呼ばれている疾患は、注意欠陥多動性障害(ADHD)とアスペルガー症候群(AS)です。特にADHDはMCIと誤診されやすい疾患です。その理由はADHDでは注意機能障害(注意力、集中力の低下)によるもの忘れが起こりうるからです。また、ASはピック病と誤診されてしまう可能性があります。その原因は、どちらの疾患でも社会性の欠如や易怒性(病的な怒りっぽさ)が見られるからです。また最近、ADHDの人はレビー小体型認知症を発症するリスクが高いことがわかってきました。

このような事実を踏まえて、当院ではMCIや認知症の診断をする際に、つねに大人の発達障害の可能性を念頭に置いています。発達障害の有無は、その後の経過や治療方針に大きな影響を与えるからです。

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