CKD(慢性腎臓病)

クレアチニン値が高いと言われたら、
CKD(慢性腎臓病)かも知れません

CKD(慢性腎臓病)とは、タンパク尿などの尿の異常か、あるいは腎臓の機能を表わすeGFR(糸球体ろ過率)が60ml/分/1.73㎡未満に低下するといった異常が3か月以上続いている状態です。eGFR(糸球体ろ過率)は腎臓が1分間にどれくらいの血液をろ過して尿を作れるかを示す値です。

慢性腎臓病とは

一般的な健康診断では血清クレアチニン値からeGFR(糸球体ろ過率)を計算しています。血清クレアチニン値が高いほどeGFR(糸球体ろ過率)が低くなります。

最近、健康診断で血清クレアチニン値が正常より高いためにeGFRが60ml/分/1.73㎡未満であることを指摘されて来院される方が増えています。この場合、もちろんCKDである可能性があるのですが、血清クレアチニン値は腎臓の機能以外の要素(筋肉量、運動量など)によって影響を受けるので、本当に腎機能が低下しているのかどうか精密検査を行う必要があります。特に男性では女性よりも筋肉量が多いために健康診断で血清クレアチニンの高値を指摘される頻度が高いようです。

当院では、腎機能以外の要素の影響を受けにくい指標である血清シスタチンC濃度と、それをもとに計算した糸球体ろ過率(eGFRcys)を用いて腎機能の評価を行っています。簡単な採血のみでできる検査なので、お気軽にご相談ください。

CKD(慢性腎臓病)が進行すると

腎臓は腰より少し上の高さの背中側に左右1個ずつあり、握りこぶしぐらいの大きさのソラマメ型の臓器です。1個が重さ150g程度の小さな臓器ですが、腎臓を流れる血流量は心臓から送り出される血液の20%以上に相当します。腎臓は1日200Lにもおよぶ血液をろ過して、約150Lのろ過液(原尿)を作ります。原尿には体に必要な物質(水、糖分、ナトリウム、アミノ酸など)と不要な物質(老廃物)が含まれています。このうち体に必要な物質は腎臓の尿細管という部位で再吸収されて血管内に戻りますが、不要な老廃物は尿中に排泄されます。このようなメカニズムで腎臓は体液を清浄化すると同時に、体内の水分量やナトリウム、カリウムなどの電解質の濃度を一定に保つことで血圧の調節を行い、pH(酸性・アルカリ性の程度)を弱アルカリ性に維持しています。さらに、血圧の調節に関与するレニンというホルモンも分泌しています。

腎臓病が悪化すると

腎臓には、血液をろ過して尿を作る以外にも重要な役割があります。

骨の代謝に重要なビタミンDは腎臓で活性化されて初めてその力を発揮します。また、腎臓では骨髄で赤血球を作るのに必要な造血ホルモン(エリスロポエチン)が分泌されます。したがって、腎臓の働きが低下してエリスロポエチンの分泌が不足すると貧血になります。これが腎性貧血です。

何らかの原因で腎臓が障害されると、まず尿検査でタンパク尿や血尿が認められます。これがCKDの初期のサインです(ステージ1)。これを無視して放置すると、腎臓の働き(腎機能)が徐々に低下してきます。腎機能の低下が軽度にとどまっている時期には自覚症状はほとんどありません(ステージ2)。
この時点ではまだ回復の余地があるので、この段階で適切な治療を開始することが重要です。具体的には、タンパク尿、血圧、脂質、尿酸値をしっかりコントロールすることが大切です。糖尿病患者さんでは血糖のコントロールも重要です。また、喫煙を避け、適度な運動をして肥満を是正するなど、生活習慣の改善も必要です。

生活習慣病は生活習慣の改善でなおす!

治療が不十分だと、腎機能はさらに低下して行きます。eGFRが概ね60ml/分/1.73㎡未満,すなわちステージ3となってくると、体液の恒常性が維持できなくなり、血圧の上昇(腎性高血圧)、むくみ、疲れやすさといった自覚症状が見られるようになります。ここからは腎臓専門医による治療が必要になります。

eGFRが30ml/分/1.73㎡を切った状態(ステージ4)になると腎性貧血や骨代謝の異常が見られるようになり、もはや腎機能の回復は難しくなります。治療の目標は現状を維持し、透析治療の開始を遅らせることになります。尿毒症(老廃物が体内に蓄積することにより頭痛、食欲不振、嘔気、嘔吐、不眠などの症状が出現し、放置すると死に至る危険性がある状態)の出現や脳梗塞、脳出血、狭心症、心筋梗塞、心不全などの脳・心血管合併症に注意が必要です。この時期には、腎性貧血の治療と、より厳格な血圧・脂質・尿酸値などのコントロールが必要になります。

さらに悪化してeGFRが10未満(末期腎不全=ステージ5)になると、いよいよ透析治療の準備が必要となります。

CKDの検査と診断

尿検査

タンパクや血液、糖、沈殿物などの尿の成分を調べる検査です。

  • タンパク尿
    尿中のタンパクの量が多いほど腎臓の毛細血管の炎症が強いと考えられます。
  • 微量アルブミン尿
    糖尿病性腎症の早期診断に役立つ検査です。
  • 潜血反応
    尿に赤血球が混じっている状態を血尿と言います。タンパク尿と共にCKDの早期発見に有用な指標です。
  • 尿糖
    血糖値が高くなると尿中に糖が排泄されるようになります。CKDのリスクを高める高血糖を早期に発見するのに役立ちます。

血液検査

先ほど述べたように、腎臓は老廃物を排泄する機能とともに赤血球を作るエリスロポエチンという造血ホルモンを分泌する働きを持っています。それゆえ、血液中の老廃物の濃度や赤血球の数を検査することで腎臓の機能を評価することができます。

  • 血清クレアチニン
    腎臓の機能が低下すると血清クレアチニン値は上昇します。CKDの指標となるeGFRを計算するのに使用される重要な検査項目です。
  • 血清尿素窒素(BUN)
    タンパク質が代謝されてできる老廃物です。腎臓の機能が低下すると血清クレアチニン値と共に上昇します。
  • 貧血検査
    腎機能低下が進行すると、腎性貧血のため赤血球数、ヘモグロビン値が低下します。
  • 電解質
    ナトリウム、カリウム、クロール、カルシウムなどの電解質の異常がみられることがあります。

CKDの治療

CKDの原因が慢性糸球体腎炎である場合にはタンパク尿を減らすような薬物療法(抗血小板薬、ステロイド、免疫抑制剤等)が基本になります。タンパク尿をコントロールすることが腎機能の悪化を防ぐことにつながる場合が多いです。

糖尿病性腎症で尿蛋白が多い場合は、血糖のコントロール、血圧のコントロールと同時にタンパク質の摂取量を体重1kgあたり0.5g/日程度に制限することが必要となる場合があります。

最近急増している、動脈硬化を原因とするCKD(腎硬化症)では上記の薬物療法やタンパク制限は有効ではありません。動脈硬化を進行させる因子は高血圧、脂質異常症、高尿酸血症、糖尿病、肥満等なので、これらの因子をできる限り良好にコントロールすることが大切です。まずは有酸素運動と食事療法(適度な塩分制限と糖質制限)を実践し、それでもコントロールできない場合にはそれぞれの因子に対応した薬物療法が必要となります。

CKDが進行して腎性貧血が見られる場合には、エリスロポエチン製剤を定期的に注射することにより貧血の改善を図ります。これによって腎機能の悪化速度を遅くすることが可能です。

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