心不全

パンデミックとの戦いはまだまだこれからだ!

2024年が明けた。苦しかったコロナとの戦いも、なんだかんだで、とりあえずは終了したことになり、日常生活を取り戻しつつある日本。しかし、新たなる敵が現れようとしている。
ノーベル賞を獲得した本庶先生の免疫チェックポイント阻害薬などなどのおかげで、今や不治の病とは言えなくなった「がん」よりも日本人の命を多く奪いうる疾患をご存じだろうか。今やがんの5年生存率は、治しやすいものもむつかしものも含めてだが、70%程まで上昇している。しかし、これはなんと4年で半分の患者の命を奪うのだ。それは「心不全」である。まさに「心不全パンデミック」である。
心不全――?なんだかぴんと来ない?それもそのはず、これは病名ではない。ある状態のことをいう。
心不全とは: 「心臓に何らかの異常(原因はなんでもいい)があり、心臓のポンプ機能が低下して、全身の臓器が必要とする血液を十分に送り出せなくなった状態」 である。
心臓の動きが悪いから心不全ではない。動きが悪くても十分に血液が来てくれればそれは心不全ではないし、動きがよくても来てくれなければそれは「心不全」の状態にあるのである。
この「心不全」、高齢化とは切っても切れないものである。高齢化に伴い心不全患者数は毎年1万人のペースで増えており、2023年は国内に約120万人もの患者がいた。団塊の世代が後期高齢者に突入する2025年(これを書いている時点ですでに2024年2月)にはさらに増えることが予想される。どこかの市長さんではないが、「どえらけにゃあこと」である。
そんなに脅されて、じゃあどうすればよいのか・・・。安心していただきたい。心不全はかなり予防することができるし、悪化するのを遅らせることもできる。心臓に異常を生じされる原因を取り除くか、それができなくても軽くすることはできるのだ。
そして、心不全の症状には以下のようなものがある。心当たりのある方はぜひ早めに検査をしていただきたい。

心不全症状の例

① 息切れ・呼吸困難・どきどきする
→階段や坂道がしんどい。横断歩道を渡り切れないなど。
② 足のむくみ
③ 疲れやすい
④ 食欲がない
⑤ 眠れない
→横になると肺にたまった水で呼吸苦が悪化するため。
⑥ 手足が冷えやすい

上記のような症状のある方は、ぜひ当院に相談いただきたい。

心不全になる原因としては

① 不整脈
② 高血圧
③ 弁膜症
④ 心筋症
⑤ 動脈硬化
などがある。

上記疾患を検出する方法として、心臓超音波検査(心エコー)、24時間心電図、CAVI(動脈硬化の指標検査)などが行える。
心不全は症状が出る前に予防あるいは軽減することができる。いきなり薬を出されるのかと心配されるかもしれない。もちろんすぐに薬物治療が必要なこともあるが、まずは生活習慣の管理を行うことで対応できることも少なくない。(なお、当院には栄養士も在籍している。)

「心不全パンデミック」はすぐそこに迫ってきている。これからの超高齢化社会、心不全にならないよう、早め早めの管理をしていくことをお勧めしたい。

  • 院長ブログ
  • スタッフブログ
  • 小早川医院 Facebook
  • インスタグラム
  • 公式LINEアカウント
  • 052-752-0800
  • メールでのお問い合わせ
pagetop