痛みは身体の様々な部位に生じますが、中でも胸痛(胸の痛み)は人々を不安に陥れやすい症状です。
しかし実際には、胸痛を生ずる病気でも軽症で経過を見ていればよいものから、直ちに精密検査や治療が必要となるものまで多くの種類があります。
気になる症状があれば心臓の専門医である循環器内科にご相談いただくのがよいでしょう。
受診の際には以下のチェックポイントを確認して、担当医にお伝えいただくと診療がスムーズに進みます。
・いつから、どこが、どのように痛むか?・体動や深呼吸で痛みが悪化するか?・痛みに波があるか?・筋トレをしているか? ・打撲などの外傷はないか?・呼吸が苦しい、顔色が悪いなどの随伴症状があるか?・服用中の薬はあるか?・今までに病気にかかったことがあるか?
・労作性狭心症:運動や興奮により起きる
・安静時狭心症:安静時、夜間、早朝などに誘因なく起きる
・心筋梗塞:重篤感のある痛み、激痛、下顎や肩に放散、冷汗・嘔吐を伴う
・肥大型心筋症:動悸、呼吸困難、失神を伴う
・たこつぼ心筋症:情動、ストレスが誘因となる
・大動脈弁狭窄症:体動時に多く、安静により症状が軽減する
・大動脈解離:背中や腰の痛みも伴うことあり。痛みが移動する
・肺塞栓症:呼吸困難を伴う。ときに失神
・急性心膜炎:風邪症状が先行する。深呼吸、体位変換で悪化
・逆流性食道炎:飲み込むときの胸痛、胃酸を押さえる薬で軽減、寝た姿勢で悪化
・胃・十二指腸潰瘍:空腹時の痛みが多い
・胆のう・胆道系疾患:食後に悪化することが多い
・気胸:痩せた若者に多い。呼吸困難を伴うことあり
・胸膜炎:咳や呼吸で悪化
・肺がん:持続性の痛み
・帯状疱疹:神経の走行に一致した発疹・水疱
・肋間神経痛:体位変換や呼吸で悪化する
胸痛の原因には肋間神経痛や逆流性食道炎から大動脈解離や心筋梗塞などの重篤な疾患まで、幅広い疾患が含まれています。胸の痛みがあれば問診や聴診に加え、必要に応じて胸部レントゲン、心電図、心エコー検査や血液検査を行い、重大な疾患がないことを確認する必要があります。胸の痛みが続く場合には、一度、循環器内科を受診しておいた方が安心でしょう。
当院では、毎月第2、第4金曜日に、循環器専門外来を行っています。名古屋大学医学部附属病院のベテランの循環器専門医が担当しています。クリニックでの検査, 治療が難しいような病気が見つかった場合でも、スムーズに専門の治療を受けていただける医療機関へのご紹介が可能です。どうぞお気軽にご相談ください。
文責:小早川医院 院長 小早川裕之