コウノメソッドによる認知症治療

コウノメソッドによる認知症治療

当院では、「コウノメソッド」による認知症治療を実践しています。
コウノメソッドは、40年近くにわたって認知症治療一筋に歩んでこられた名古屋フォレストクリニックの河野和彦先生が、その豊富な臨床経験をもとに開発された認知症の薬物療法です。河野先生の精力的な講演活動、執筆活動、ネット上での情報発信によって徐々にこの治療法を採用する医師が増えつつあります。現在では、全国で300人を超える「コウノメソッド実践医」がいます。私もその一人として日々認知症診療に当たっています。

認知症を発症した要介護高齢者は、介護者がいなければ生きていけません。介護者が燃え尽きてしまったら、もはや介護は続けられなくなるのです。認知症の介護においては周辺症状こそ症状の主役です。本人にとっては中核症状よりも危険が大きく、介護者にとっても非常に大きな負担となります。ですから、認知症を治療する医師は中核症状を改善するだけでなく、周辺症状の改善も心がけ、さらに介護者の心身の健康にも配慮する必要があるのです。
認知症を専門とする医師の中には、「中核症状が治らなければ認知症は良くならない」と考える先生もいますが、コウノメソッドでは「周辺症状を丁寧にコントロールしていけば、認知機能は格段に良くなる」という立場をとっています。

コウノメソッドは、患者さんも介護者も同時に救う治療法です。それが難しいケースでは、介護者を救うことを優先します。十分な介護を継続できることが患者さん本人にとっても大切だからです。

コウノメソッドの薬物療法

コウノメソッドの薬物療法の特徴は次のようにまとめられます。

  • アリセプト、リバスタッチ、レミニール、メマリーなどの中核症状治療薬は、保険上の規定量にとらわれず、それぞれの患者さんの状態に合わせた適量処方とします。(多くの場合、保険上の規定量よりも少量になります)認知機能を改善することは確かに大切ですが、中核症状治療薬によって周辺症状を悪化させないように注意することが介護者保護のためには最も重要です。
    また、過量のアリセプト、リバスタッチ、レミニールはパーキンソン病に似た歩行障害を引き起こすことがあるので注意が必要です。実際、中核症状治療薬の過剰投与により、介護抵抗、介護者への暴言・暴力、徘徊などの陽性症状が悪化したり、歩行障害がひどくなり、介護者が疲弊して当院に相談に来られるケースが増えています。
  • 興奮系の薬剤と抑制系の薬剤をバランスよく組み合わせて、周辺症状(徘徊, 暴力, 暴言,幻覚, 妄想, 過食, 不眠, 介護抵抗, 無気力, 無関心, 無言, うつ状態など)をコントロールします。
  • コウノメソッドでは、長年にわたって使用されてきた、副作用が熟知されている薬剤を多用します。これらの薬剤を本来の適応とは異なる疾患に、常識的な使い方とは異なる低用量で用いることで、介護者と患者さん、両方を救う安全な治療を実現しています。
  • 脳の萎縮に伴って認知症が進行します。脳の萎縮には脳神経細胞の慢性炎症が関与しており、酸化ストレスがその引き金になることがわかっています。コウノメソッドではこの酸化ストレスに対処するために、種々の植物ポリフェノールを原料としたサプリメントを治療に用います。また、強力な抗酸化物質であるグルタチオンの点滴も実施しています。これらの治療法には脳萎縮の進行防止や認知機能・歩行障害の改善、周辺症状のコントロールに顕著な効果が認められています。これらはすべて自費診療となります。
  • 医師は24時間患者さんを観察することはできません。薬による副作用が出た時、あるいは薬の効果が不十分で症状が悪化した時に素早く対応するため、コウノメソッドでは介護者に薬に関する知識を持ってもらい、症状に変化があった時には介護者の判断で用量を調節していただきます(家庭天秤法)。
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