【禁煙外来の予約についてのお知らせ】
只今、禁煙外来の予約は一時中止しております。
再開する際にはホームページにてお知らせ致します。よろしくお願い致します。
小早川医院の禁煙外来
禁煙外来は、タバコをやめたいという意思を持った人を対象とした専門治療外来です。
喫煙は今や「ニコチン依存症」という病気であるとされています。禁煙外来では「ニコチン依存症」と診断された患者さんには医師より禁煙補助薬を処方し、禁煙治療を行います。
※近年「加熱式タバコ」が大きな人気を博しています。従来の紙巻きタバコに比べて有害物質が少ないと言われていますが、紙巻きタバコと同様に多量の有害物質を含んでおり、またニコチンによる身体的・心理的依存を引き起こしてしまうという点で人体にとって有害であることには違いありません。
当院では、従来の紙巻きタバコ同様、加熱式タバコもやめることができない方は禁煙外来での治療が必要であると考えています。
喫煙している男性は喫煙していない男性に比べて、肺癌で4.5倍、虚血性心疾患(心筋梗塞等)で1.7倍、慢性閉塞性肺疾患(COPD)で12.7倍、死亡する危険性が高くなることが分かっています。また、女性でも肺がんで2.3倍、乳がんで1.3倍、子宮頸がんで1.6倍、脳卒中で1.7倍、死亡する危険性が高くなることが明らかになっています。
たばこのニコチンは、皮膚の血流を低下させ、ビタミンCを破壊するため、喫煙により肌の老化が5年以上早まるといわれています。また、受動喫煙(間接的にタバコの煙を吸ってしまうこと)によっても、肺がん、心疾患、子宮頸がん、子供の肺炎や気管支喘息、乳幼児の突然死症候群、低体重出生、周産期死亡などの危険性が高まることがわかってきています。
これらの事実をふまえ、当院では禁煙治療に力を入れています。特に、高血圧、糖尿病、脂質異常症、狭心症、閉塞性動脈硬化症など動脈硬化に関連した疾患に罹患されている方に関しては、禁煙は必須条件と考えています。
タバコは、いつやめても遅いということはありません。禁煙をすると1~2日後には血圧や脈拍数の改善が見られ、2週間程度で循環機能や肺機能が改善していきます。また肺がんによる死亡率も、吸わない人を1.0とした場合の喫煙者は4.5倍であるのに対し、禁煙後1年~4年で2.0倍、5年~9年で1.6倍、10年を経過すると1.4倍にまで低下するという報告もあります。
今まで長い間吸ってきたからもう手遅れということはなく、これからの人生のために一日も早い禁煙が必要なのです。
【健康保険で禁煙治療を受けるための条件】
2006年4月より、ニコチン依存症は病気であるということが認識され、健康保険等を使って治療を受けることができるようになりました。
保険診療で禁煙治療を受けるためには、以下の4つの条件を満たしている必要があります。
①直ちに禁煙しようと考えていること
②ニコチン依存症テスト(下記)が5点以上である
③ブリンクマン指数(1日喫煙本数×喫煙年数)が200以上である
(例:1日20本を10年間吸い続けている方、20×10=200)
④禁煙治療を受けることを文書により同意していること
ニコチン依存症判定テスト(TDS) ※5点以上の場合、ニコチン依存症が強く疑われます
ニコチン依存症テスト「TDS」
設問内容 | はい | いいえ |
---|---|---|
1点 | 0点 | |
問1.自分が吸う予定だった本数よりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか。 | ||
問2.禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか | ||
問3.禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてたまらなくなることがありましたか。 | ||
問4.禁煙したり本数を減らしたときに、次のどれかがありましたか。 (イライラ、神経質、落ちつかない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加) | ||
問5.問4でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか。 | ||
問6.重い病気にかかったときには、タバコはよくないと分かっているのに吸うことがありましたか。 | ||
問7.タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。 | ||
問8.タバコのために自分にいわゆる禁断症状が起きて、また吸うことがありましたか。 | ||
問9.自分はタバコに依存していると感じることがありましたか。 | ||
問10.タバコが吸えないような仕事やつきあいは避けることが何度かありましたか。 |
合計5点以上の方は、ニコチン依存症の可能性が高いと考えられます。
ニコチン依存症とは

タバコの中にニコチンという物質が含まれているのはご存知かと思います。禁煙しようと思ってもなかなか禁煙につながらないのは、このニコチンが身体的・心理的依存を起こしてしまっているからだということが分かっています。つまり、喫煙は個人の嗜好や趣味といった問題ではなく、依存症という病気なのです。
タバコを吸うと、ニコチンが数秒で脳に到達し、快感や満足感、幸福感を感じるドパミンと呼ばれる物質が放出されます。こうして、喫煙者はタバコを吸うことで頭がすっきりしたり、気分が落ち着いたり、リラックスしたりできるのです。しかしこれを繰り返すうちに、今度はニコチンがないと脳神経細胞が正常に働かなくなってしまいます。そうすると、今度は喫煙をしないとイライラしたり、落ち着かなくなったり、集中力が低下してしまうなどの様々な症状(離脱症状)が引き起こされます。これが身体的依存です。
同時に、喫煙をして快感、幸福感を感じた記憶や、仕事の区切りや食後などといった“喫煙の習慣”により、いつものタイミングになると「喫煙したい」という気持ちが強くなります。これが心理的依存です。
また、喫煙を開始する年齢が低ければ低いほど、ニコチン依存症になりやすいことが分かっています。
喫煙は本人がやめようと強く思っても、簡単にやめることができない「依存症」という病気です。「喫煙は病気である」「喫煙者は患者である」という認識を持ち、他の病気と同じように一人で無理せず医療機関に相談し、適切に治療をすることが大切です。
【禁煙外来での診療の流れ】
健康保険等を使った保険診療での禁煙治療は、“12週間”が基本となります。そしてその12週間の間に、5回の診察を受けていただきます。
<初診>
・問診による喫煙状況や生活環境の確認
・ニコチン依存症のスクリーニングテスト、呼気一酸化炭素濃度測定による診断
・禁煙治療計画の決定、生活環境に合わせた禁煙のための問題点の把握とアドバイス
・治療薬(禁煙補助薬)の選択と説明、処方
<2~5回目の診察>
基本的に2週間後、4週間後、6週間後、10週間後に診察を受けていただきます。
・喫煙、禁煙状況の確認、体調や離脱症状に関する問診
・喫煙状況とニコチン摂取量の客観的なモニタリングと結果説明(呼気一酸化炭素濃度の測定など)
・禁煙継続にあたっての問題点の把握とアドバイス
・治療薬(禁煙補助薬)の効果確認、副作用の確認など
禁煙に成功された方でも、一般的に約2年間はタバコを吸いたいという気持ちが消えないと言われています。万が一、たばこを吸ってしまった方は再度診察を受けられる事をお勧めします。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の疑いがある方は、禁煙に成功された後でも定期的に肺の検診を受診するようにしましょう。
<費用の目安>
自己負担が3割負担の方ですと、12週間・5回の全ての診察代・お薬代などを含めて12,000円~20,000円程度になります(治療に用いる禁煙補助薬の種類によって異なります)。
例えば1日1箱タバコを吸う方は、同じ期間タバコを吸うと3~4万円程度(1箱430円×30日×3ヶ月=38,700円)かかる計算となりますので、治療費用の方が自己負担を軽く済ますことができます。
【タバコによる健康被害について】
タバコによる健康被害というとニコチンやタールが取り沙汰されることが多いですが、実はタバコの煙には4,000種類以上の化学物質が含まれており、その内200種類以上が人体にとって有害物質、また50種類以上が発がん性物質であることが分かっています。
タバコと肺がんについての関係はよくお聞きになるかと思いますが、タバコによる健康被害は肺がんだけではありません。冒頭でも一部ご紹介しましたが、様々な病気の死亡率について非喫煙者と比較した場合、咽頭がん:32.5倍、肺がん:4.5倍、肝臓がん:3.1倍、食道がん:2.2倍、膵臓がん:1.6倍、膀胱がん:1.6倍、子宮がん:1.6倍、胃がん:1.4倍と報告されています。
がんだけでなく、慢性閉塞性肺疾患(COPD):12.7倍、肺気腫:2.2倍、胃潰瘍:1.9倍、くも膜下出血:1.8倍、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症):1.7倍など、様々な病気がタバコによって悪影響を受けることが明らかになっています。
そしてタバコによる健康被害は、喫煙者本人だけではありません。幼児(3歳児)の喘息などの気管支炎の有病率を調査した研究では、家庭内に喫煙者がいない場合は1.7人/100人であったのに対し、父が喫煙者である場合には3人/100人、母が喫煙者である場合には4.9人/100人となると報告されています。また夫が1日20本喫煙するときの妻の肺がんによる死亡率も、夫が非喫煙者であった場合に比べて1.91倍になることが分かっています。
このように、喫煙による悪影響は喫煙者本人だけでなく、喫煙者の大切な家族や周りの人にまで及んでしまうのです。
今後の健康状態が気になり少しでも禁煙に挑戦してみようと思った方は、小早川医院までご相談ください。無理なく禁煙に成功できるよう、一緒に取り組んでいきましょう。
文責:小早川医院 院長 小早川裕之