2011.12.09更新
生活習慣病と老化
人間の身体機能は20歳~25歳の青年期をを過ぎると衰え始め、年齢とともに低下して行きます。これが「老化」です。
老化はすべての人に起こる現象ではありますが、その程度には大きな個人差があります。私は内科医として多くの生活習慣病の患者さんを治療してきましたが、複数の生活習慣病があり、それらがうまくコントロールされていない人は老化のスピードが速いという実感があります。
生活習慣病は、以前は「成人病」と呼ばれていました。40歳前後から発症し、働き盛りの人に多い病気ということでそのように呼ばれていたのです。しかし、年齢ではなく「生活習慣」が原因であることが分かり、より適切な名称として、平成8年に「生活習慣病」と改められました。
生活習慣病の代表的なものとして、糖尿病、高血圧、脂質異常症、脳血管障害、心臓病 (狭心症、心筋梗塞)、がんなどがあります。このうち糖尿病、高血圧、脂質異常症は、自覚症状はないことが多く、長い経過で徐々に進行し、全身の動脈硬化(=血管の老化)を引き起こします。動脈硬化は脳血管障害、狭心症・心筋梗塞などの心臓病の原因となります。脳血管障害は認知症の原因となり、心筋梗塞は心臓の働きを低下させるため、日常生活の活動度(ADL)を低下させます。つまり、生活習慣病が老化を促進し、それが新たな生活習慣病の発症につながり、老化がさらに進行するという悪循環が生じやすいのです。この悪循環を断ち切るためには、まず、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病をしっかりと予防・治療する必要があります。健診などで血圧、血糖、コレステロール、中性脂肪などの異常を指摘された方は、たとえ症状がなくても、早めに内科を受診されることをお勧めします。
高血圧、糖尿病、脂質異常症の予防・治療は「アンチエイジング(老化予防)」の基本と言えるでしょう。