日本人の平均寿命は2018年の統計で男性81歳（世界第3位）, 女性87歳（世界第2位）と年々延びていますが、健康寿命はというと男性72歳, 女性75歳にとどまっており、平均寿命と健康寿命との差が年々拡大しつつあります。その大きな原因のひとつが認知症の急増です。
認知症は脳の様々な部分が萎縮して機能障害がおきる変性疾患ですから、ひとたび発症すると記憶力や判断力が徐々に低下し、食事、着替え、排泄など日常的なことが自力でできなくなっていく可能性が高いのです。進行すれば介護が必須となり、家族の介護負担は非常に大きなものとなります。さらに、暴言・暴力、徘徊、妄想・幻覚なども介護者を大いに疲弊させます。誤診と間違った投薬がこれらの症状を悪化させ、介護者を一層苦しめているケースも多くみられます。
こうした状況に鑑みて、当院では認知症治療の柱として「コウノメソッド」を実践しています。

コウノメソッドの理念は「天寿を全うするまで患者さんが穏やかに過ごせるために、介護する人が救われるために、患者さんを治す」ということです。認知機能検査の点数を上げることよりも、介護者の負担を軽減することを重視します。介護者の負担が減れば安定した介護を続けることができ、患者さんが穏やかに過ごせることにつながると考えています。
またMCIスクリーニング検査や認知症健診を通じてMCI（軽度認知障害）や認知症の早期発見に努めています。さらに、認知症発症予防のための芸術療法（アートセラピー）も定期的に実施しております。
こうした当院の取り組みを一人でも多くの方に知っていただくために、このたび認知症専門サイトを開設しました。
ぜひご覧いただき、認知症の早期発見・予防・治療に役立てていただけたら幸いです。

介護職の方々へ；　介護抵抗や徘徊、問題行動等で介護が困難な利用者がおられましたらいつでもご相談ください。介護しやすくする方法をご提案します。また、ご要望があれば介護スタッフを対象としたコウノメソッドに関するレクチャーもさせていただきます。

小早川医院院長　小早川裕之