名古屋認知症・物忘れ相談室
監修医院:小早川医院

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認知症とは

認知症とは

認知症とは、いったん獲得した知的機能が脳の障害によって持続的に低下した状態です。発症すると記憶や行動の障害がおこり、家庭生活や社会生活に支障をきたすようになります。認知症は症状、経過、脳の画像診断などからいろいろな種類(型)に分類されます。アルツハイマー型認知症, 血管性認知症, レビー小体型認知症, 前頭側頭型認知症を四大認知症と呼びます。

▶認知症の種類について

認知症の原因

認知症の原因については未だに明確になっていません。認知症の種類によって原因は一様ではなく、不明な部分も多いのです。老化とともに脳内に異常タンパク質が蓄積し、それが脳細胞の死滅を加速させ、脳の萎縮が進行します。異常タンパク質が蓄積する原因は明らかになっていません。認知症の中で最も頻度が高いアルツハイマー型認知症ではアミロイドβという異常タンパク質が蓄積して老人班という「脳のシミ」を形成することが知られています。家族に認知症の人がいる場合には、遺伝的に脳の萎縮が起こりやすく認知症の発症リスクが高い可能性があります。特にアポE遺伝子のε4を持っている人は、そうでない人に比べて明らかにアルツハイマー型認知症を発症するリスクが高いことがわかっています。

生活習慣病も脳の萎縮を促進する因子となります。糖尿病による食後高血糖は脳の萎縮を促進し、認知症の発症リスクを高めます。高血圧や脂質異常症、糖尿病などにより脳動脈硬化が進行すると、脳の血流が低下し脳の萎縮が起こりやすくなります。さらに、脳血管障害(脳梗塞、脳出血)を発症してしまうと一層脳萎縮が進行し、脳血管性認知症の発症リスクが高まります。

その他、大量飲酒, 精神的ストレスやうつ状態, 頭部外傷や難聴も脳萎縮を促進し、認知症の発症リスクを高めることが知られています。

認知症でよくある症状

認知症を発症しても自覚しにくいことが多いので、早期発見のためには家族など周囲の人が変化に気付くことが大切です。高齢者の言動に少しでも違和感を感じたら、家族間での情報を共有する必要があります。

認知症は物忘れから始まることが多いですが、老化による物忘れとは異なります。老化による物忘れは、体験した出来事の一部を忘れるのみで、出来事そのものは覚えています。忘れた自覚もあり、ヒントを与えられれば思い出せることが多いのです。一方、認知症では、脳の神経細胞の変性によって認知機能が低下する(中核症状)ため、体験自体を忘れてしまい、忘れた自覚もありません(記憶障害)。

以下の項目に該当するものがある場合は認知症の可能性が高いので、早い段階で検査を受ける事をお勧めします。早期発見、早期治療により症状の進行を遅らせ、認知機能を改善できる可能性が生まれます。放置するとさらに症状は進行し、時間や場所も認識できなくなる(見当識障害)、計画を立てて物事を行うことができなくなる(実行機能障害)、言葉の理解や発語ができなくなる(失語)、「服を着替える」, 「ご飯を食べる」などの日常生活に必要な行為ができなくなる(失行)、目から得た情報を適切に認識できなくなる(失認)などの症状が見られるようになります。

中核症状が悪化してくると、不安が強くなって精神的に混乱したり、自尊心が低下したりします。こうした心理的変化に、周囲の環境や人間関係などの種々の要因が絡み合って周辺症状(BPSD)が起きてしまうのです。周辺症状の中で最も頻度が高いのが妄想です。貴重品を周囲の人に盗まれたと主張する「物盗られ妄想」、理不尽な扱いを受けたと訴える「被害妄想」、配偶者が浮気をしているという「嫉妬妄想」などが見られます。これらの妄想は、身近で大切な人との関係性が悪化してしまうのではないかという不安によって引き起こされています。また、場所の見当識障害が悪化するにつれて、自宅や入所している施設など見慣れた景色の記憶も消えてしまうため、徘徊が起こります。

<認知症でよくみられる症状について>

▶認知症と「もの忘れ」の違いは?

認知症の検査と診断

認知症の検査には、大きく分けて認知機能検査と脳の画像診断があります。認知症検査に対して不安を感じる人も多いので、検査の必要性について十分に時間をかけて本人に説明したうえで実施することが大切です。

認知機能検査としては言語性知能を評価するための改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、動作性知能を検査するための時計描画テスト(CDT)を実施します。HDS-Rは、日付や場所などについて答えたり、単語の記憶や単純な計算などをしてもらう検査です。

CDTは、指示されたとおりに時計の画を描く事ができるかを見る検査です。検査者と患者さんが直接向き合う検査ではないため、検査に対する抵抗が少ないとされています。画像診断としては、脳の萎縮の評価に適した頭部CT検査を実施します。3方向から撮影することにより、脳の萎縮の程度や部位を正確に判定することができます。

また、MCIスクリーニング検査は認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)のリスクを判定する血液検査です。

▶MCIスクリーニング検査(認知症健診)

▶認知症の初期症状:MCIとは?

これらの検査を行うことで、適切な治療を進めるための認知症の診断を下していきます。

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