物忘れに気付いたら、それが単に加齢によるものなのか、MCI(軽度認知機能障害)あるいは軽度認知症によるものなのかを判断する必要があります。加齢による物忘れは体験したことの一部のみを忘れる、ヒントがあると思い出せる、忘れやすいことを自覚しているなどの特徴があるのに対して、MCIや認知症による物忘れは体験したこと自体を忘れる、ヒントがあっても思い出せない、忘れたことを自覚していないなどの違いがあります。加齢による物忘れはあまり進行せず、日常生活に支障はありません。MCIや認知症では思考力や判断力の低下、季節や場所がわからなくなる、などの症状も見られ、症状は進行性です。MCIは認知症の前段階であり、日常生活には支障をきたしませんが、認知症になると支障が出てきます。
高齢者が日常生活の中で忘れることが増えてきたら、ご家族は注意する必要があります。MCIや認知症は早期発見、早期治療が大切ですので、少しでも異変を感じたら日常生活に支障が出る前に、早めに医療機関を受診させてください。簡単な問診と認知機能検査で治療が必要な状態かどうかを判断することができます。
物忘れがひどい状態は、認知症でよくある症状のひとつです。しかし加齢に伴う物忘れと、認知症が原因となる物忘れは大きく異なります。
認知症は早い段階で気付き、治療を開始することで進行を遅らせる、改善させることが期待できます。少しでも気になることがあれば、認知症外来を行っている小早川医院にご相談ください。