2013.05.23更新
地中海食が心筋梗塞・脳卒中を減らす!
以前から地中海沿岸地域独特の食習慣である「地中海ダイエット=地中海食」が心血管疾患(心筋梗塞・脳卒中など)の予防に有効であるという研究結果が数多く発表されています。今年4月、世界で最も権威ある医学雑誌の一つである New England Journal of Medicine 誌に、糖尿病、高血圧、喫煙、肥満など心血管疾患のリスクの高い集団での地中海食の効果を検討した論文が掲載されました。
これによると、オリーブオイルやナッツを用いた地中海食は、心筋梗塞、脳卒中のリスクを30%も低下させました。
7000人以上の人を対象にして厳密に行われた大規模な研究によって、このような素晴らしい結果が得られ、それが世界の超一流誌に掲載されたことに意義があると思います。
これを契機に、slow food への流れが一層加速することになるでしょう。
2013.05.22更新
糖尿病学会がHbA1cによる血糖管理基準を改定!
従来は、血糖管理のためのHbA1cの指標として次のような5つの区分が設定されていました。
①優 6.2% 未満
②良 6.2~6.9%未満
③可(不十分) 6.9~7.4% 未満
④可(不良) 7.4~8.4% 未満
⑤不可 8.4% 以上
これに対し、6月1日から施行される新しい血糖管理基準では下記の様な3つのカテゴリーが設定され、HbA1cの目標値もきりの良い値にそろえられました。また、「優・良・可」という学校の通信簿の様な名称が消えて、患者さんにも受け入れられやすくなりました。
(1)血糖正常化を目指す際の目標 6.0%未満
(2)合併症予防のための目標 7.0%未満
(3)治療強化が困難な際の目標 8.0%未満
(1)は適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、または薬物療法中でも低血糖などの副作用なく達成可能な場合の目標値。(2)については対応する血糖値として、空腹時血糖値130mg/dl, 食後2時間の血糖値 180mg/dlがおおよその目安として付記されています。(3)は低血糖などにより治療の強化が難しい場合の目標です。
今回発表された新基準は、私のように糖質制限(低炭水化物)食を推進している医師にとっては、実際の臨床の場での感覚に近いものであり、良い方向に改訂されたと思います。
1日1食のみ炭水化物を抜く程度の無理のない糖質制限食と運動のみで治療している場合には、HbA1cは正常範囲を目指してよいと思います。しかし、2食、3食で炭水化物を抜くような厳しい糖質制限や多くの種類の糖尿病薬の併用療法でHbA1cの正常化を目指すのは低血糖や長期的な副作用(死亡率の上昇、発がんの増加、心血管疾患の増加など)の危険性が増すので、望ましくないでしょう。過去のデータを見ても、実際の臨床の現場でもHbA1c 7.0未満では神経障害、網膜症、腎症といった糖尿病合併症が進行する危険性は低いので、治療はHbA1cをこの範囲に保つのに必要な最低限の糖質制限、あるいは最低限の薬物治療にとどめるべきです。やみくもにHbA1cの正常化を目指すのは医者の自己満足でしかないと思います。
2013.05.21更新
ビタミンDと健康長寿
最近注目されているビタミンDの欠乏が心血管疾患(狭心症、心筋梗塞、脳卒中など)による死亡のほか、がんや呼吸器疾患による死亡リスクとも強く関係しているとするドイツのグループの研究成果がAmerican Journal of Clinical Nutrition の最新号に掲載されました。
この研究によると、ビタミンD充足群(血中ビタミンD濃度 50 ng/ml以上)と比較して、欠乏群(30 ng/ml 未満)および不足群(30~50 ng/ml) の全死亡リスクはそれぞれ1.71倍、1.17倍と明らかに高くなっていました。また、充足群と比較して欠乏群の心血管死、がん死、呼吸器疾患死のリスクはそれぞれ1.39倍、1.42倍、2.50倍といずれも明らかに高くなっていました。
この結果から、ビタミンDは健康長寿に必須の栄養素であり、十分に紫外線を浴びることができない場合には、サプリメントとして摂取する必要があると言えるでしょう。
2013.05.10更新
花粉症最新情報!
今シーズンは、スギ、ヒノキの花粉の飛散量が昨年の6倍にも達し、花粉症の方にはつらいシーズンでした。花粉の飛散が速く始まった分、終息も早かったようで、4月下旬にはヒノキの飛散はほとんどなくなり、この時期に症状が消失した患者さんも多かったです。
しかし、それもつかの間、GW明けからは、再び症状が悪化して来院される患者さんが増えています。今度は、オオアワガエリ、カモガヤ、ハルガヤなどのイネ科植物の花粉が飛散しているようです。最近は、複数の花粉に反応する患者さんが増えていますので、症状が再発した方は、やはり抗ヒスタミン薬を地道に続ける必要があります。また、長期間症状の続くような方は、以前にお勧めした免疫調整サプリメントであるビタミンDを継続して服用されるのも良いでしょう。
2013.05.07更新
当院の認知症の治療方針・・・コウノメソッドの実践
認知症の治療で最も問題になるのは介護者の疲弊です。介護者が燃え尽きてしまっては、介護・治療を続けることは不可能になります。認知機能の改善のみを重視する従来の治療法では、介護者の負担を軽くすることはできません。そこで、当院では名古屋フォレストクリニックの河野和彦先生が提唱されているコウノメソッドに従って治療を行っています。
認知症の症状の中で最も介護者を苦しめるのは不眠、易怒、過食、暴力、浪費、介護への抵抗などの陽性症状です。当院では向精神薬や漢方薬(抑肝散など)を駆使して、こうした陽性症状を抑えることにより介護者の負担を軽減することを最優先しています。
その後に、患者さん本人を苦しめている認知機能の低下(もの忘れ)の治療に取り掛かります。治療薬としては様々な種類のお薬を、患者さんの症状に応じてきめ細かく使い分けています。また、フェルガード、エグノリジンS、イチョウ葉エキスなどのサプリメントも必要に応じて使用しています。
このような治療により、介護者のストレスを最小限に抑えつつ、ご本人が人間としての尊厳を失わずに残された人生を送れるようになるのです。
2013.04.30更新
老化は血管から!
4月28日のブログで、過剰に摂取された糖質が筋肉や皮膚、血管などを構成するタンパク質と結合して、老化を促進することをご説明しました。なかでも、酸素を運ぶヘモグロビンと血管は、糖質によってダメージを受けやすいことで知られています。血管を構成しているコラーゲンというタンパク質に余分な糖質が結合して、老化タンパク質;AGEsができます。
このようなダメージによって血管に負担がかかり続けると、血管の内側の細胞に傷がついてしまいます。こうなると、この傷から血液中の悪玉コレステロールが入り込み、「プラーク」というこぶのようなふくらみができます。これが大きくなれば、血管の内径がせまくなり、血液の流れが悪くなります。また、プラークが破裂すれば、突然血管が詰まってしまうこともありうるのです。
このように、血管の老化は直接命にかかわる最も深刻な老化と言えるでしょう。糖尿病の血管合併症も、過剰な糖質によって全身の血管がダメージを受け、「老化」して行くことによるものなのです。
2013.04.29更新
糖尿病・メタボのための糖質制限レシピNo.9…鶏もも肉のトマトクリーム煮
こんにちは管理栄養士の坂井です。
世の中ではGWが始まりましたね。観光地は人でいっぱい!人ごみが苦手な私はお家でお菓子作ったり、趣味に没頭することが多いです。でも、みんなが楽しそうな連休を過ごしていると、私もどこか出かければよかった。なーんて思ったりします。
前置きとは関係なく、今回のレシピは淡泊な鶏肉を生クリームを使ってリッチに仕上げます。しかも、簡単です。トマトソースに隠れたえのきがひそかに食物繊維豊富なメニューに仕上げてくれてます。コスパもいいのにとてもリッチな仕上がりです。
【鶏もも肉のトマトクリーム煮】
【材料】・・・4人分
鶏もも肉・・・320g(1人80g)
塩・ブラックペッパー・・・少々
オリーブオイル・・・大さじ1
ニンニク・・・3かけ
玉ねぎ・・・大1/2
えのき・・・1袋
トマトダイス缶・・・1缶
水・・・100ml~
コンソメ・・・2個
ローリエ・・・2枚
生クリーム(動物性)・・・60g
ブロッコリー・・・6房
バジル(粉)・・・少々
*下準備*
鶏ももは40gくらいに切る。玉ねぎは薄切り、えのきは2㎝の長さに切る。にんにくはみじん切りにする。ブロッコリーはゆでる。
①フライパンにオリーブオイルを入れ、にんにくを弱火で香りがするまで炒める、香りがしてきたら、鶏肉を皮を下にして中火でこんがり焼き色がつくまで両面焼く。
②焼き色がついたら一度取り出す。(中は生焼けでOK)
③鶏から出た油で玉ねぎを透明になるまで炒め、えのきも炒める。
④③にトマト缶、水、ローリエ、コンソメを入れる。
⑤トマトソースが温まったら焼き目を付けた鶏肉を入れて、中に火が通るまで中火で鍋にふたをして5分ほど煮る。
(ここでブロッコリーを入れて一緒に煮てもOK)
⑥鶏肉に火が通ったら、一度火を消して、生クリームを入れる。
⑦食べる直前に再度温める程度に火を通してバジルをかけてできあがり。
1人当たりの栄養価
エネルギー 312kcal
たんぱく質 16.3g
脂質 21.7g
炭水化物 13.4g
食物繊維 3.8g
糖質 9.6g
塩分 2.0g
盛り付けるときに少しだけ生クリームをたらすとおいしそーに仕上がります♪
鶏肉はカリカリがいいって方は最初に中まで火を通してトマトクリームソースをかけても。隠れえのきがソースをボリュームアップさせてます。
鶏肉のうまみを閉じ込めたい方は小さじ1くらい小麦粉をつけてから焼くとよいでしょう。(たくさんつけるとゴテゴテになるので注意!!)
2013.04.28更新
老化を引き起こす蛋白質;AGEs
AGEsについては以前にも当ブログで触れたことがありますが、老化を考える際に非常に重要な物資ですので、もう一度おさらいしたいと思います。
私たちの体は、大部分がタンパク質でできています。老化を防ぎ健康を維持するためには、身体を構成する筋肉、血管、皮膚などのタンパク質を良い状態に保っておくことが大切です。最近、様々な研究が行われた結果、糖質が身体を構成するタンパク質を劣化させ、老化を促進していることがわかってきたのです。
過剰に摂取された糖質はタンパク質と結合してAGEs(蛋白糖化反応最終生成物)という老化物質になります。AGEsはタンパク質を劣化させ、タンパク質が本来の機能を果たせない状態にしてしまいます。AGEsは皮膚や髪の毛などの状態を悪化させて、外見的な老化を引き起こすだけでなく、血管や内臓の働きを低下させ、糖尿病の合併症を進行させます。
ですから、糖尿病の人もそうでない人も、摂取する糖質の質、量を調節することによって、老化のスピードを遅らせ、病気にかかりにくい身体を作ることが可能なのです。
2013.04.28更新
糖尿病など生活習慣病の血液検査の結果を、当日にお伝えできるようになりました!
当院の特徴は、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の患者さんが多いことです。
生活習慣病の治療では血糖、HbA1c,脂質、肝機能、腎機能、電解質などの血液検査のデータは非常に重要なのですが、今までは血糖値とHbA1c以外は外注に出していたため、その日のうちに結果がわからず、次回の診察(1~2ヶ月後)の時に初めて患者さんにお知らせするという状態でした。これでは患者さんのモチベーションがなかなか維持できません。
今回、この問題を解決するために写真フィルムで培われたファインケミカル技術を応用して、短時間で測定ができる生化学自動分析装置:ドライケム4000を導入しました。同時に全自動血球計数器:セルタックαも導入しました。脂質、肝機能、腎機能、電解質、炎症反応、貧血検査、白血球数、血小板数などの主要な検査の結果が十数分で出るので、その日のうちに患者さんにお知らせすることができるようになりました。
これによって、当院に通院しておられる生活習慣病の患者さんのコントロールが改善することを期待しております。
2013.04.26更新
急増する糖尿病・・・糖質依存の影響
戦後、わが国で糖尿病が急増している原因として運動量の減少、脂質摂取量の増加などがあげられることが多いようですが、私は精製された糖質(真っ白なごはん・めん・パン・砂糖など)の摂取量の急増も重要な原因であると考えています。
高度に精製された糖質は腸からの吸収が非常に速いので、急激に血糖を上昇させると同時にインスリンの分泌も強く刺激します。そうなると、大量のインスリンが膵臓から分泌され、一度上昇した血糖値が今度は急速に低下することになります。この時、空腹感が強くなるので、血糖値を上げるためにさらに糖質を摂取してしまうという悪循環に陥るわけです。
最近、私の外来に通っておられる高齢者で、糖尿病の家族歴もなく、肥満もない方が70代、80代になって徐々に糖尿病を発症してくるケースが増えています。この方たちの食事調査をしてみると、決して食べ過ぎているわけではなく、摂取カロリーはむしろ少なめなのですが、おかずが少なくごはんやパン中心の献立になっていることが多いのです。
糖質依存から脱却するにはどうしたらよいでしょうか?
糖質制限食はもちろん非常に有効ですが、真っ白なごはんを玄米食に、真っ白なパンやパスタを全粒粉のものに、真っ白な砂糖をより精製度の低い茶色のものに替えるだけでもかなりの効果が期待できます。
是非お試しください!
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