2012.07.15
糖尿病の基礎(その4):2型糖尿病発症のメカニズム
少し間があきましたが、「糖尿病の基礎」シリーズを再開します。今日は、2型糖尿病発症のメカニズムについてです。
血糖値を下げる作用のあるホルモンは、すい臓から分泌されるインスリンだけです。インスリンはブドウ糖を肝臓、筋肉、 脂肪、神経細胞に取り込ませることにより、血糖値を下げます。このインスリンの分泌量が少ない場合(インスリン分泌障害)、あるいはインスリンが効きにくい場合(インスリン抵抗性)には結果としてインスリンの作用が不足し、血糖値が上がります。
すい臓は空腹のときでも最低限のインスリンを分泌しています。これを「基礎分泌」と呼びます。炭水化物を含んだ食事をすると血糖が上がるので、すい臓はこれに対応してインスリンの分泌量を増やします。これを「追加分泌」と呼びます。
インスリンの追加分泌によって肝臓、筋肉、脂肪組織などへブドウ糖が取り込まれてエネルギーとして利用され、血糖は正常範囲内に保たれます。インスリンが追加分泌されても、肥満、運動不足、内臓脂肪の蓄積などでインスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)があり、ブドウ糖が利用されにくくなると、 すい臓はさらにインスリンの追加分泌の量を増やして対応します。このようにインスリン抵抗性を「インスリンの追加分泌を増やす」という形でカバーできている間は血糖値は正常範囲内に保たれますが、この状態が長く続くと、すい臓は徐々に消耗します。そうなると、食後の血液中のブドウ糖の増加に対してインスリンの追加分泌が起こるタイミングが遅れたり、追加分泌の量が不十分となる、いわゆるインスリン分泌障害が起こってきます。その結果、食後に血糖値が異常に上昇する(食後高血糖)様になります。これがいわゆる「糖尿病予備軍」あるいは「境界型糖尿病」と呼ばれる状態です。
そして、この状態がさらに進行すると糖尿病の発症に至るわけです。
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