院長ブログ

2014.09.26

糖質制限食では一価不飽和脂肪酸が重要!

9月16~19日にウィーンで開催されたヨーロッパ糖尿病学会で、糖質制限食における脂質の摂取の仕方について興味深い発表があったのでご報告します。(今年は学会に行っている暇がなかったので、インターネットの速報で知りました。)

オランダのユトレヒト大学からの発表です。

要約: 糖質制限食で炭水化物を脂質に置き換える場合の脂質の種類に関してはいまだに議論があるところだ。この研究では6192人の2型糖尿病患者を平均9.2年間観察した。この間、791人が死亡し、そのうち心血管イベント(脳卒中や心筋梗塞、狭心症など)で死亡したのは268人であった。この集団で、炭水化物をいろいろな種類の脂質で置き換えたとき、全死亡リスクや心血管イベントによる死亡リスクがどのように変化したかを検討した。その結果、炭水化物10gを飽和脂肪酸(肉の脂身などに含まれる脂肪酸)置き換えると、全死亡リスクは増加したが、一価不飽和脂肪酸(オリーブオイルなどに含まれる脂肪酸)に置き換えるとリスクは低下した。心血管イベントによる死亡リスクは炭水化物を飽和脂肪酸または多価不飽和脂肪酸に置き換えた場合に増加した。

この研究の結果は、オリーブオイルが摂取する脂質の中心となっている地中海式食事で死亡リスクが低下したという事実に通じるものがあると思います。糖質制限食が、真の「健康長寿食」となるためには、やはり「脂質の質」にこだわる必要があるということでしょう。「炭水化物の比率を10~20%下げた地中海式食事が理想の糖質制限食である」という私の持論が裏付けられたという気がしています。

投稿者: 小早川医院


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