2013.08.07
糖尿病性腎症と言われてもあきらめる必要はありません
糖尿病の三大合併症として腎症、網膜症、神経障害が知られています。
このうち、糖尿病性腎症は尿中に排泄されるアルブミンというタンパク質の量が1日当たり300mgを超えると「顕性腎症」と呼ばれ、この状態になるといくらしっかりと治療しても腎障害の進行を止めることはできないと考えられてきました。
ところが最近、顕性腎症となっても、治療が可能であるというデータがいろいろな医学雑誌で報告されるようになってきています。
今年6月に’Diabetes Care’という雑誌に北海道で開業医をされている横山宏樹先生の論文が掲載されました。
これによると、2002年から2008年に横山先生のクリニックを受診された糖尿病患者さん2500人のうち、初診の時に顕性腎症であった患者さんは211人でした。この患者さんたちを次のような目標を設定して治療しました。
①HbA1c 7.0%未満 ②血圧 130/80未満 ③総コレステロール(TC) 200mg/dL未満 ④トリグリセライド(TG) 150mg/dL未満 ⑤HDLコレステロール(HDL-C) 40mg/dL以上
この結果、平均4.5年間の観察で1年間以上尿中のアルブミンが300mg/日未満となった患者さんは58.3%に達しました。
実に半数以上の患者さんが顕性腎症の状態を脱することができたわけです。
糖尿病の発症初期から良好な血糖コントロールを保って、顕性腎症にならないようにするのが一番ですが、たとえなってしまった場合でも、諦めずに血糖、血圧、脂質のコントロールをしっかりと行えば腎障害の進行は防げる事をこのデータは示しています。
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