院長ブログ

2013.10.01

糖尿病治療薬が糖尿病の発症を予防する?・・EASDより(その2)

Mというお薬は、2型糖尿病の第一選択薬として全世界で使用されています。50年以上の歴史がある薬で重大な副作用が少ないこと、インスリン抵抗性を改善して血糖を低下させる作用があることが証明されている一方、薬価は安いので、非常にコストパフォーマンスの良い治療薬といえます。

今回のEASDでも、このお薬に関する発表が数多くみられました。中でも注目を集めていたのが、ブルガリアのソフィア大学の Petya Kamenova先生の研究です。

52人の高インスリン血症のあるメタボリックシンドロームの患者さんに1年間当該薬剤を投与したところ、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)・中性脂肪が低下し、HDLコレステロール(善玉コレステロール)は上昇しました。血糖値は徐々に低下し、インスリン抵抗性も改善しました。

これらの結果からPetya先生は、「高インスリン血症のあるメタボリックシンドロームの患者さんでは、当該薬剤が心血管病(脳卒中、狭心症、心筋梗塞など)のリスクを低下させ、さらにはインスリン抵抗性を改善させることにより2型糖尿病の発症を予防する可能性がある」とまとめられました。

Mの新たな可能性を示す、興味深い発表でした。

学会期間中に、バルセロナでは「メルセ祭」という市を挙げての
大きなお祭りが開催されていました。
下の写真は、メルセ祭のメインイベントである「人間の塔」です。
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投稿者: 小早川医院


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