2013.06.29
米国糖尿病学会がインクレチン関連薬に関する声明を発表!
「米国糖尿病学会(ADA)は6月10日、血糖降下薬として用いられているインクレチン関連薬の開発または販売を行う全ての製薬会社に対して、各社のインクレチン製剤に関する患者レベルのデータを、独立レビューのために提供し、「インクレチン製剤が膵炎や膵癌の発生に寄与しているか否か」という疑問の解決を促進するように要請した。
インクレチン関連薬は、GLP-1受容体作動薬やDPP-4阻害薬などの血糖降下薬などであり、単剤または他の治療薬との併用により、糖尿病コントロールを改善し、体重の減少を促進する。最近の公表文献により、2型糖尿病患者における膵炎や膵癌の発生に対する、インクレチン関連薬の寄与の可能性に関して、活発な議論が行われるようになってきている。
患者が、医師に相談した上で、治療法に関して可能な限り至適な意思決定を行えるようにするためには、治療法に関して判明しているリスクとメリットを、患者に全て知らせる必要がある。
行政データベースの登録データの解析では、インクレチン関連薬の投与が、膵炎に関連しないこと、またはわずかに関連することが示唆されていたが、肥満や飲酒との関連性よりは弱いものである。また、剖検組織標本を用いた最近のケースコントロール試験では、インクレチン関連薬の投与を受けた2型糖尿病患者における膵臓の腫瘍性変化の発生率が、糖尿病を有さない被験者群、またはインクレチン関連薬以外の治療薬の投与を受ける糖尿病患者群よりも、高くなっていたことが示唆された。ただし、この解析には方法上の問題点も存在していた。」 (m3.com 米国学会短信 2013.6.18.より)
記事の中に出てくる「剖検組織標本を用いた最近のケースコントロール試験」とは、今年の4月15日のブログでご紹介したDiabetesという糖尿病の一流誌に掲載された論文のことです。この論文をきっかけとして、インクレチン関連薬と膵癌・膵炎との関連に関する議論が活発化しているというわけです。こうした流れをアメリカ糖尿病学会も無視できなくなったということでしょう。
今後、SU剤や長時間作用型インスリンと同様に「関連性あり」との結論が出る可能性もあるわけですから、現状ではDPP-4阻害薬の安易な使用は避けたいところです。
糖尿病治療は、あくまでも食事療法、運動療法を中心にして、必要最低限の薬物療法を併用するという姿勢が大切です!
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