院長ブログ

2014.07.22

糖尿病に関する院長のコメントが中日新聞に掲載されました

先月末に大阪で起きた糖尿病治療中の男性が運転する乗用車の暴走事故に関して、中日新聞の取材を受けました。今日の朝刊にその記事が掲載されましたので、その全文を引用します。

『 糖尿病 薬頼り過ぎ注意・・食事療法 原点に戻って

大阪市の繁華街で六月末、ワゴン車が暴走して通行人三人が重軽傷を負った事故。運転していた男性(65)は糖尿病で、事故当時は低血糖で意識がもうろうとしており、危険運転致傷容疑で逮捕された。薬の効き過ぎによる低血糖の疑いがあるという。患者が常に食事の質や量、運動を一定にするのは難しく、治療を薬に頼るほど低血糖の危険性が高まる。低血糖が認知症や死亡のリスクを高めることも明らかになりつつあり、専門家は「食事療法の原点に立ち返るべきだ」と指摘する。)

血糖値は通常、一定に保たれているが、甘い物やご飯、パン、麺類などの糖質を食べると数値が上がる。糖尿病は上がり過ぎた血糖を下げる体の機能が悪くなり、高血糖が続いて多様な合併症を引き起こす。これを避けるため、食事療法や薬物療法で血糖を制御する治療が行われている。
低血糖の多くは薬で起こる。一般的に患者は服薬の際、医師から決まった時間に指示されたカロリー分を食べ、決まった時間にインスリンや経口血糖降下剤など一定量の薬を使うよう指導される。問題は、実生活でこれを忠実に実行できるかどうかだ。
食事量の違いや食事の間隔のほか、同じカロリーでも、血糖値がほとんど上がらない焼き肉と、逆に上がりやすい白米では大きな差がある。このため、血糖がそれほど上がらなかった場合に薬を規定量使うと、薬が効きすぎて低血糖を起こしやすくなる。
軽症では冷や汗や手足の震え、動悸、不快感などが現れる。重くなると、集中力低下や強い眠気、めまいに襲われ、最悪の場合はけいれんや意識消失を起こす。このため患者は軽症のうちに、事前に用意したブドウ糖や糖分を含む食べ物を摂取して対処するよう指導されている。
薬の量が多めに設定されやすい背景があると、糖尿病治療に力を入れる小早川医院(名古屋市昭和区)の小早川裕之院長は指摘。理由は「皮肉にも低血糖を起こすほど、糖尿病の指標となるグリコヘモグロビン値(HbA1c)が改善するため」。ひと昔前までは、血糖を下げるのを優先し、「ある程度の低血糖は仕方がない」という風潮があったという。
しかし、近年の研究で低血糖が引き起こす危険性に注目が高まっている。権威ある英医学誌「ランセット」に二〇一〇年に掲載された論文は、インスリンの働きが弱くなった糖尿病患者約二万八千人の長期追跡調査を報告。高くなったHbA1cの値を薬で下げると、ある値までは死亡リスクが下がるが、それよりさらに健常者の値に近づけようとすると、逆に高まってしまうことを示した。
増えた死因は脳卒中や狭心症などの血管疾患。論文は、低血糖が血管障害を促したと考察している。このほか、低血糖発作を繰り返すほど認知症になる確率が高まることを報告する論文や、血糖値の大きな変動が血管障害を引き起こすといった論文が相次いでいる。
小早川さんは「血糖が上がる食事を治療の前提とするのではなく、糖質摂取量を抑えた血糖を上げない食事で薬の量を減らす」という方針で診療。多くの患者でHbA1c値を改善させ、低血糖も防いでいる。「来院した患者で結局、薬が不要だった事例も。副作用のない食事療法のメリットは大きい」と話す。ただ、食事療法に伴う薬の見直しをするには、それに詳しい医師の指導が欠かせない。

自動車運転死傷処罰法と無自覚性低血糖症
飲酒運転など悪質な運転で死傷事故を起こしても、刑法の危険運転致死傷罪の適用が見送られるケースがあったため、新たに自動車運転死傷処罰法が五月に施行された。新法では「無自覚性の低血糖症」の患者が事故を起こし、人を死傷させた場合でも、致死で十五年以下、致傷十二年以下の懲役に問うことができる。無自覚性では、低血糖が起きても発汗や震えなどの初期症状が出にくく、本人が自覚できない。突然、意識障害や昏睡に陥るために危険度は高い。糖尿病を長期間患い、自律神経障害になった人や、低血糖を頻繁に繰り返した人に起こりやすい。』

今回の取材では、今までこのブログで繰り返し強調してきたことをまとめてお話ししました。担当の記者も健康維持のために糖質制限を実践しておられるとのことで、私の話に共感していただけたようです。

まずは食事療法(糖質制限)、次は低血糖を起こさない最小限の薬物療法(メトフォルミン・DPP4阻害薬など)というのが健康長寿への近道です!

投稿者: 小早川医院様


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