2014.08.27
認知症高齢者の嚥下障害に対する秘策
肺炎は高齢者の死因の上位を占めていますが、その大部分が誤嚥性肺炎であると考えられています。特にレビー小体型認知症や脳血管性認知症の患者さんでは、嚥下障害から誤嚥性肺炎を起こしやすいことが知られています。また、アルツハイマー型認知症やピック病など、他の認知症でも進行すれば嚥下障害が起きてきます。
認知症の高齢者が入所している施設では、食事中にむせがあると誤嚥性肺炎を恐れるあまり比較的早めに食事を止めてしまい、鼻腔から胃まで栄養チューブを通すか、胃ろうを作ってそこから液状の栄養剤を入れて栄養状態を維持するというパターンになりがちです。しかし、口からものを食べられなくなると、たとえ栄養状態は保たれたとしても、食べる楽しみがなくなり、生活の質は大幅に低下してしまいます。
そこで、たとえ嚥下機能が低下していても、何とかむせずに口から食事ができるような工夫が必要になります。
最近の研究で、高齢者の嚥下機能は、様々な感覚を刺激することで改善されることがわかってきています。辛子の成分であるカプサイシンやミントの成分であるメンソールによる温度感覚刺激、黒コショウの香りによる嗅覚刺激、口腔ケアのブラッシングによる口腔粘膜の知覚刺激などが嚥下機能を改善することが知られています。
このうち、当院ではカプサイシンを嚥下障害の治療に用いています。
カプサイシン入りの口腔内溶解シートが製品化されており、これを毎食直前に舌の上にのせると口腔内で自然に溶解して、食事中~食後のムセが明らかに改善する患者さんが多いです。(私の感覚では8割以上の患者さんに有効です。)
サプリメントの扱いですので、費用は自費となりますが、1か月4000円程度です。
ご家族の嚥下障害でお困りの方は、ぜひご相談ください。
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