院長ブログ

2012.10.18

厳しい糖質制限(低炭水化物)食は危険です!

最近、糖質制限(低炭水化物)食がマスコミで取り上げられることが多くなり、ちょっとしたブームの様相を呈しています。書店には糖質制限食のコーナーが設けられているところさえあります。外来をやっていると、患者さんから「テレビ番組で糖質制限の特集をやっているのを見ました」という話を聞かされることも多くなりました。

私も含め、糖質制限食を普及させたいと願っている者にとっては一見喜ばしいことのようですが、実態はそうではありません。なぜなら、ほとんどの場合、「炭水化物を減らせば減らすほど良い」、「炭水化物は身体に毒である」というような取り上げ方をされており、毎食炭水化物を抜く、あるいは1日の炭水化物摂取量を130g以下に抑えるなどといった厳しい糖質制限食が推奨されているからです。

世界の趨勢はこれとは逆の方向に向かっています。欧米では厳しい糖質制限は危険であることを証明する論文が数多く発表されています。2007年に発表されたスウェーデンとギリシャの研究は、ともに2万人もの人をそれぞれ12年と4年にわたって追跡するという非常にスケールの大きなものです。
これらの研究によると、炭水化物摂取量をカロリー比で35%(1日2食で炭水化物を抜いた場合に相当します)まで下げると総死亡は7割も増えたという結果が出ています。厳しい糖質制限をしてたとえ血糖や体重が下がったとしても、他の病気を併発して寿命が縮まってしまっては意味がありません!・・・次回に続く

投稿者: 小早川医院


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