院長ブログ

2012.12.16

アスタキサンチンで脂肪肝の進行が抑制される?

京都市で開かれた第33回日本肥満学会のシンポジウム「食品の機能と肥満症」で、生活習慣病の予防にサプリメントが有効であることを強く印象付ける報告が行われました。

その中から、今日はアスタキサンチンの脂肪肝進行抑制効果についてお話します。

わが国の成人の4~5人に1人が発症するとされる非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は単純性脂肪肝の段階と脂肪性肝炎(NASH)の段階に分けられます。
過食、運動不足などのライフスタイルの乱れによって肝臓への脂肪蓄積が起こり単純性脂肪肝が生じます。この状態が続くとしだいに肝臓の炎症、線維化が起こり、脂肪性肝炎(NASH)に進行します。NASHの状態になった人の5~20%は肝硬変になります。
単純性脂肪肝からNASHへの進展にインスリン抵抗性や酸化が関係していることが動物実験で明らかになっていますが、一方でインスリン抵抗性改善薬はNASHの予防に有効でないという臨床研究のデータも最近出されており、NASHへの進展を防ぐ治療法は確立されていません。

金沢大学の太田先生はNASHの動物モデルにアスタキサンチンを投与した結果NASHの進展が抑制されたと報告しました。
アスタキサンチンは果物、野菜、魚介類に豊富に含まれるカロテノイドの一種で、抗酸化作用、炎症抑制作用に加えてインスリン抵抗性改善作用や線維化を抑制する作用を持っており、これらの作用によりNASHの進展が抑えられたのではないかと推測されています。

アスタキサンチンは脂肪肝以外にも、糖尿病や認知症に対する効果が期待されている有望なサプリメントです。効果を証明するデータも着実に増えつつあります。当院でもご紹介できますので、興味のある方はお気軽にご相談ください。

次回ブログでは、今話題の「レスベラトロール」についてお話しします。ご期待ください・・

投稿者: 小早川医院


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