2013.05.25
腸と栄養・・その1
腸は口から入った食物が通過していく管状の通り道ですが、単に「道」としての役割だけでなく、食物からのエネルギーや栄養素の吸収、外界からの異物の排除、さらにホルモンや神経系の調節などの機能を持ち合わせています。腸というと腸内細菌のバランスが注目されていましたが、近年、腸に関する概念が大きく変わりそうな機能や、栄養とのかかわりが数多く報告されています。
腸の働き① エネルギー源を得る
腸の役割は、第一に食物をエネルギーに効率よく変換するため、順序良く分解し、吸収しやすい形にしていくことです。ヒトの皮膚の表面積は畳1枚分であるのに対して、腸の表面積はテニスコート1枚分といわれ、食物を分解・吸収するためには大変な労力が必要とされることがわかります。
ヒトは生命を維持するために幅広い食物を栄養に変えられる(雑食)ように進化してきました。その進化の裏で、腸は様々な種類の食物をエネルギーに変えるための工夫を行っており、そのひとつに、自力では消化しきれない食物を分解してもらうための「細菌との共生」があります。
腸の働き② 外からの攻撃から身を守る
腸の役割でもう一つ重要なのは、外界の敵から身を守ることです。腸は外部から摂取した食物の通り道であることから、毒素を出す菌やウィルス、アレルゲンなどと直接接するわけです。大半の菌やウィルスは酸性の強い胃酸によって死滅しますが、それでも撃退できない場合には、小腸の腸管免疫が抗体を送り出し、病原菌に対応します。
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