2013.09.04
レビー小体型認知症
三大認知症といえば、「アルツハイマー型認知症」、「レビー小体型認知症」、「脳血管性認知症」を指しますが、最近特に注目を集めているのが「レビー小体型認知症」です。1976年にこの疾患を世界で初めて報告したのは横浜市立大学名誉教授の小坂憲司先生です。
その後、世界各地で同様の症例が報告され、1995年にCDLBというレビー小体型認知症の国際的研究グループが結成され、その翌年にはレビー小体型認知症の臨床診断基準(CDLBガイドライン)が発表されました。それからまだ17年しか経過していないわけですから、医師の間でレビー小体型認知症がまだあまり知られていないのも当然のことかもしれません。
CDLBガイドライには、レビー小体型認知症の様々な特徴が網羅されています。
この診断基準によれば、「認知障害」は必須条件で、その他に「幻視」「パーキンソン症状」「認知機能の変動」の3つの症状のうち2つを満たすとレビー小体型認知症の可能性が高いとされます。その他にも注目すべき特徴として、「転倒・失神」「幻覚・妄想」「うつ」「後頭葉の血流低下」などの症状が挙げられています。
このように多彩な症状を呈するレビー小体型認知症は、「レビー小体」というタンパク質の蓄積が原因で起こります。この物質は今から100年ほど前にドイツのミュンヘン大学でF・レビーによって発見されました。
有名なパーキンソン病もレビー小体を原因とする病気です。レビー小体型認知症とパーキンソン病を合わせて「レビー小体病」と呼びます。
レビー小体型認知症とパーキンソン病は兄弟の様な関係にあるわけですが、病理学的にみると、大脳皮質を中心にレビー小体が広範囲に分布しているのがレビー小体型認知症です。一方、パーキンソン病ではレビー小体は主に脳幹に分布しています。こうしたレビー小体の分布の違いが、症状の違いや診断の相違につながっているわけです。
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