2014.06.04
妊娠高血圧症候群について
こんにちは管理栄養士の坂井です。
前回に引き続き、妊娠期の病気と栄養についてお話したいと思います。
今回は「妊娠高血圧症候群」についてです。
以前、この病気は「妊娠中毒症」とも呼ばれており、【妊娠中期以後になってからお母さんに高血圧、タンパク尿、浮腫(むくみや1週間に500g以上の体重増加)のいずれか1つ、あるいは2つ以上が現れる病気】のことを言っておりました。
しかし、医学の研究が進むにつれお母さんや赤ちゃんの障害に直接関係する異常は「高血圧」が中心であることがわかってきました。
言いかえると、【血圧が正常である限り、タンパク尿あるいは浮腫だけ、またはその両方が認められたとしても、それだけではお母さんや赤ちゃんに急激な異常の起こる事は少ない】ということです。
したがって、高血圧の妊婦さんは血圧が正常な妊婦さんと区別し、より慎重に管理されるべきなのです!
日本妊娠高血圧学会により「妊娠中毒症」という病名を廃止し、2005年4月から「妊娠高血圧症候群」という名前に変わりました。
上の図にあるように「妊娠高血圧症候群」を【妊娠20週以降、分娩後12週まで高血圧が見られる場合、または、高血圧にタンパク尿を伴う場合のいずれかで、かつこれらの症状が単なる偶発合併症によるものではないもの】と定義。
症状が単なる偶発合併症によるものではないもの???とは、たとえば「妊娠中に交通事故にあってびっくりして血圧が上がった」や「妊娠中に高血圧になり調べたら身体の中に血圧を上げる腫瘍が見つかった」という場合は妊娠高血圧症候群ではありませんということです。
さて、定義はこれくらいにしておいて、赤ちゃんや母体にはどんな影響があるのでしょうか。
妊娠高血圧症候群の重症(収縮期血圧160mmHg以上拡張期血圧110mmHg以上をいう)の場合は子宮や胎盤での血液が流れにくくなります。お腹の赤ちゃんはお母さんの胎盤から酸素を栄養をもらいますので、赤ちゃんは酸素・栄養不足になってしまうことがあります。最悪、胎児が機能不全を起こしまだ未熟な胎児を帝王切開でとりださなければなりません。
そして、お母さんにはどのような影響があるのか。
自覚症状があまりなく、重症になっても妊婦健診で異常が見つかるまでは自分では気付かない事も多く、言われてみれば頭痛や倦怠感、眠気などの症状があったなぁと気付く事も少なくありません。
主な症状として子癇、HELLP症候群、常位胎盤早期剥離などがあげられます。
子癇は「急激におこった高血圧によって脳の中の血液が増え、脳の中にむくみが起きて、けいれんを起こす」と考えられています。 分娩中に痙攣してしまい痙攣しないように注射を打って処置するとも聞きました。
HELLP症候群は「妊娠の後半からお産の後に発症しやすい疾患で血液中の赤血球が壊され、肝機能が悪くなり、血小板が減少する」と言われており、分娩中に大量出血した場合止まらなくなると聞きました。
常位胎盤早期剥離は「子宮の正常な位置に付いている胎盤が赤ちゃんが生まれる前にはがれてしまう病気です」
剥離が大きいと出血性ショックを起こしたり、お腹の中の赤ちゃんが亡くなる事になります。
代表的な症例しか上げていませんが、たかが高血圧と放置してあとから後悔しないように、妊娠前、妊娠中はバランスのとれた食事を摂る事が大切ですね。
逆に、ダイエット食のように極端にカロリーを減らしたり、塩分を減らしては身体の機能が働かなくなりますので、あくまで適正カロリーは摂りましょう。
血圧が上がりやすい方は減塩減塩とうるさいくらい言われておりますが、つわり中などはどうしても味の濃いものが食べたくなりますよね、つわり中をずっと継続しないように安定期を迎えたらつけものやふりかけは控え、味噌汁は一日1回など決めてあまりストイックに食事制限をせず適正エネルギーと塩分は10g以内に抑えましょう(妊婦で高血圧ぎみのかたは7gまで)
コツとしては全部薄味だと食べているのも足しくないのでどれか一品は普通に美味しく食べられるぐらいの塩分にし、お浸し、サラダ、味噌汁などは塩分控えめなど工夫しましょう。
汁ものは顆粒だしを使うとすぐに塩分が上がってしまいます。かつおから取り、一日分作っておけば煮物やお浸しにも使えますよね!
妊娠中は一人の身体ではありません。病気になってからでは遅いので普段から予防しましょう。
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