3月, 2012 - 小早川医院 - Page 2のブログ

2012.03.11更新

当院でのローカーボ(糖質制限)食への取り組み・・その2

今回の学術集会では、ローカーボ食で糖尿病やメタボリック症候群が改善したという発表が多かったですが、一方で動物性脂肪中心のローカーボ食では、厳しくすればするほど心血管病や癌による死亡率が高くなることや、インスリンやSU剤とローカーボ食の組み合わせで低血糖が起こりやすいこと、ローカーボ食を始めて3~6カ月経過したところで、脂質摂取への不安感などから、炭水化物摂取量だけでなく脂質の摂取量も減少してしまい、総カロリーが極端に減少する「不安定ローカーボ」の状態に陥りやすいことなど、ローカーボ食の問題点も明らかにされました。

私たち栄養士は、ローカーボ食の利点ばかりを強調するのでなく、このような問題点もしっかりと理解したうえで、患者さんが長期間にわたって無理なくこの食事療法を継続して行けるようにサポートして行かなければなりません。
また、日本人にはやはり和食を中心とした食事療法が一番自然だと思いますので、将来的には、和食中心のローカーボ食を指導できるようにしたいと思います。
また、当院は高齢の方が多いので、そういう方たちの脂肪摂取に対する抵抗感を徐々に取り除くような工夫をしていきたいと考えています。

                                                    管理栄養士  小早川 宏江

2012.03.10更新

微量ミネラル(その3)・・セレン(Se)・銅(Cu)

①セレン(Se)
セレンは、ビタミンEやSODなどと共に、抗酸化システム(生体が錆びつくのを防ぐシステム)に重要な役割を担っており、生活習慣病の引き金になる活性酸素の発生を抑制し、細胞組織の酸化や老化を防ぐ働きがあります。また、血圧をコントロールする「プロスタグランジン」の生成にも関与したり、有害重金属の毒性を軽減する働きや、精子の形態維持などの作用もあります。
セレンは海藻類、魚介類、肉類、卵黄に豊富に含まれており、海産物を多く摂取する日本人では、通常の食事をしていれば欠乏する可能性は低いと考えられています。

②銅(Cu)
銅は成人の体内に約80mg存在し、そのうち約50%が筋肉や骨、約10%が肝臓に分布しています。銅は多くの種類の酵素の働きになくてはならないものであり、エネルギーの産生や鉄の代謝、コラーゲン、エラスチンの成熟、神経伝達物質の産生、活性酸素の除去などの多彩な働きをしています。
銅の欠乏症には鉄剤を服用しても効果のない貧血、白血球減少、好中球減少、骨異常、成長障害、神経系の異常、コレステロール・糖代謝の異常などがあります。
銅は、イカやエビ、貝類、牛レバー、ナッツ類などに多く含まれています。

2012.03.10更新

当院でのローカーボ(糖質制限)食への取り組み・・その1

当院では1年ほど前から糖尿病やメタボリック症候群の患者さんにローカーボ(糖質制限・低炭水化物)食の栄養指導を行っています。医師の限られた診察時間の中ではわからない、患者さんの生活の様子や食事の嗜好等、ゆっくり対話しながら指導しています。時には、話が弾んで40分近くかかることもあります。患者さんの反応はおおむね良好で、今まで食事療法に全く興味のなかった方が、やる気になっていただけた例も多く、2回目の指導を受けた方もいらっしゃいます。「この食事療法は自分には無理」といった拒否反応はほとんどありません。

先日、名古屋で日本ローカーボ食研究会の第2回学術集会が開催され、当院からは院長と私を含めたスタッフ2人が参加しました。
今回の学術集会では、多くの施設からローカーボ食に導入されたいろいろな患者さんに関する発表がありましたが、各施設の苦労や創意工夫がぎっしり詰まっていて、大変勉強になりました。このような研究会で多くのケースを知ることが、今後の私たちの栄養指導のレベルアップにつながると思いました。また、ローカーボ食という新しい治療法を発展させていくためには、施設間の情報交換が大切であることも実感させられました。(次回に続く)

管理栄養士  小早川 宏江

2012.03.07更新

微量ミネラル(その2)・・マンガン(Mn)

マンガンは、多くの酵素(マンガン-SOD, 乳酸脱水素酵素, アルギニン分解酵素)の構成成分として、糖質・脂質・蛋白質の代謝にかかわると同時に、抗酸化作用も持っています。また、骨の石灰化を促す働きがあり、カルシウム、リンとともに、骨の形成にかかわっています。また、その他、生殖や成長、および脳機能にも関係があります。マンガンが不足すると、骨代謝、糖・脂質代謝、運動機能、皮膚代謝に影響があります。マンガンは、青のり, きくらげ, 生姜, 干しエビ, アーモンドなどに多く含まれています。

2012.03.03更新

微量ミネラル・・・量は少なくても重要な栄養素

前回ご紹介した亜鉛は微量ミネラルの一つです。今回はその微量ミネラルについてご説明します。

体内に存在する量はわずかですが、とても大事な働きをしている栄養素にビタミンやミネラルがあり、その中でも特に量が少ない物に「微量ミネラル(トレースミネラル)」があります。

ミネラルは生体組織の構成や、生理機能の維持・調節に必要な微量栄養素です。人間の体では作ることができないため、食物などから摂取する必要がありますが、それぞれのバランスが大切で、多すぎても少なすぎてもよくありません。
ミネラルの中で、人の体内に存在し、栄養素として欠かせないことが確定しているものを必須ミネラルといい、そのうち1日の摂取量が概ね100mg以上のものを主要ミネラル(カルシウム、マグネシウムなど)といい、100mg未満のものは微量ミネラルに分類されます。

微量ミネラルには、鉄、亜鉛、クロム、セレン、マンガン、銅があります。すでにご説明したクロム、亜鉛以外の4種の微量ミネラルについては、次回以降、詳しくお話ししたいと思います。


SEARCH


ARCHIVE


  • 院長ブログ
  • スタッフブログ
  • 小早川医院 Facebook
  • インスタグラム
  • 公式LINEアカウント
  • 052-752-0800
  • メールでのお問い合わせ
pagetop