7月, 2012 - 小早川医院 - Page 2のブログ

2012.07.16更新

糖尿病の基礎(その5):日本人の2型糖尿病の特徴

「糖尿病イコール肥満」というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、日本人では境界型糖尿病と診断された時点、あるいは糖尿病を発症した時点で肥満していない人が意外に多いのです。これは、インスリンを分泌する能力の問題であると考えられています。

もともとインスリン分泌能の大きい人では、インスリン抵抗性に対応して大量の追加分泌が起こり、「高インスリン血症」の状態になります。インスリンはブドウ糖を体脂肪に変える働きがありますので、当然肥満も進行します。一方、生まれつきインスリン分泌能の小さい人では、インスリン抵抗性があっても追加分泌の増加は小幅にとどまるため、高インスリン血症にはならず、肥満にもならないわけです。

欧米人はもともとインスリン分泌能が大きいので、高インスリン血症はあるが糖尿病にはなっていないという期間がかなり長くなり、糖尿病を発症した時点では高度の肥満になっているという結果になります。一方、日本人はインスリン分泌能が欧米人に比べて小さいため、そこまで太る前にインスリン分泌障害の状態となり、比較的早い時期に糖尿病を発症してしまいます。ですから、日本人の場合な肥満の糖尿病といっても「小太り」程度の人が多いわけです。

2012.07.15更新

糖尿病の基礎(その4):2型糖尿病発症のメカニズム

少し間があきましたが、「糖尿病の基礎」シリーズを再開します。今日は、2型糖尿病発症のメカニズムについてです。

血糖値を下げる作用のあるホルモンは、すい臓から分泌されるインスリンだけです。インスリンはブドウ糖を肝臓、筋肉、 脂肪、神経細胞に取り込ませることにより、血糖値を下げます。このインスリンの分泌量が少ない場合(インスリン分泌障害)、あるいはインスリンが効きにくい場合(インスリン抵抗性)には結果としてインスリンの作用が不足し、血糖値が上がります。

すい臓は空腹のときでも最低限のインスリンを分泌しています。これを「基礎分泌」と呼びます。炭水化物を含んだ食事をすると血糖が上がるので、すい臓はこれに対応してインスリンの分泌量を増やします。これを「追加分泌」と呼びます。

インスリンの追加分泌によって肝臓、筋肉、脂肪組織などへブドウ糖が取り込まれてエネルギーとして利用され、血糖は正常範囲内に保たれます。インスリンが追加分泌されても、肥満、運動不足、内臓脂肪の蓄積などでインスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)があり、ブドウ糖が利用されにくくなると、 すい臓はさらにインスリンの追加分泌の量を増やして対応します。このようにインスリン抵抗性を「インスリンの追加分泌を増やす」という形でカバーできている間は血糖値は正常範囲内に保たれますが、この状態が長く続くと、すい臓は徐々に消耗します。そうなると、食後の血液中のブドウ糖の増加に対してインスリンの追加分泌が起こるタイミングが遅れたり、追加分泌の量が不十分となる、いわゆるインスリン分泌障害が起こってきます。その結果、食後に血糖値が異常に上昇する(食後高血糖)様になります。これがいわゆる「糖尿病予備軍」あるいは「境界型糖尿病」と呼ばれる状態です。
そして、この状態がさらに進行すると糖尿病の発症に至るわけです。

2012.07.13更新

認知症の予防(その4):認知症と食生活

認知症には生活習慣病の側面もあります。したがって、認知症の予防には食生活が大切です。

魚の摂取は認知症のリスクを低下させると報告されています。
青魚に含まれるオメガ3脂肪酸であるDHAはアルツハイマー型認知症を予防するとの報告があります。

肉に多く含まれるオメガ6脂肪酸であるアラキドン酸は記憶機能を改善するという報告もあります。

野菜の葉酸やビタミンB群には血中ホモシステインを低下させてアルツハイマー型認知症や脳血管性
認知症のリスクを低下させるという報告があります。

緑茶に含まれるポリフェノールの一種であるカテキンや、コーヒーに含まれるカフェインもアルツハイマー
型認知症を予防することが知られています。

九州大学の久山町研究では、BMI30以上の肥満の人は認知症になるリスクが2倍高いことが示されました。
中年期に肥満を予防・是正しておくことが認知症の予防につながると言えるでしょう。

2012.07.11更新

認知症の予防(その3):認知症と運動

運動のアルツハイマー型認知症・脳血管性認知症に対する予防効果は多くの疫学研究で明らかにされています。
中年期から、少し汗をかく程度の有酸素運動(ウォーキング、軽いジョギングなど)を週2回以上、30分程度行うことで高齢者となってからのアルツハイマー型認知症の発症リスクが1/3に減少するという報告があります。

また、人を対象とする介入研究で、有酸素運動による海馬(新しい記憶の形成をつかさどる部分)の体積の増加と記憶力向上の効果が示されています。

認知症予防のためには、中年期からウォーキング、ジョギングなどの有酸素運動を継続して行うのが良いでしょう。
これは、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の予防・治療にもつながるので、一石二鳥の方法といえます。

2012.07.09更新

認知症の予防(その2):認知症と高血圧

高血圧症は脳血管障害を起こしやすくするので、それを介して脳血管性認知症のリスクを高めます。

九州大学の久山町研究では、32年間の追跡の結果、中年期に高血圧であった人では、老年期の血圧にかかわらず、脳血管性認知症を発症するリスクが約5倍高いという結果が出ており、中年期の血圧管理の重要性が示されました。

アルツハイマー型認知症に関しても、脳梗塞などの虚血性病変の合併は発症を早めることが知られており、高血圧症はアルツハイマー型認知症のリスクを高めると考えられます。

このように血圧のコントロールは、認知症の予防につながると言えます。中でも、ARB(angiotensin Ⅱ receptor blocker)という種類の降圧薬は、血圧をコントロールすると同時に、認知機能の低下を抑制する作用を持つことが知られています。

2012.07.08更新

認知症の予防(その1):認知症と糖尿病

認知症は長生きすればするほど発症するリスクが高まるので、発症を防ぐことは不可能です。実際、95歳以上では過半数が認知症です。しかし、生活習慣を変えることで、認知症の発症時期を遅らせることは可能です。認知症には生活習慣病の側面もあるわけです。

今日は、認知症と糖尿病の関係についてご説明します。
九州大学の久山町研究によれば、糖尿病の人はそうでない人に比べて認知症になる危険性が1.74倍高いことがわかっています。認知症の中でも脳血管障害が原因となる血管性認知症になる危険性は1.82倍、脳にアミロイド蛋白が蓄積して脳の神経細胞に変性が起こるアルツハイマー型認知症になる危険性は2.05倍高くなることもわかりました。
糖尿病は、細小血管障害や動脈硬化を引き起こして、脳血管障害を悪化させる一方、神経細胞のタンパク質を糖化させて(2012年5月26日のブログ参照)、神経細胞の機能を障害している可能性があります。
また、糖尿病で高インスリン血症があると、脳に沈着したアミロイド蛋白が分解されにくくなり、アルツハイマー型認知症の発症につながると考えられています。

認知症の予防には糖尿病の適切なコントロールが重要であることがわかっていただけたと思います。

2012.07.05更新

プラセンタ注射の効果

2月の終わりごろからプラセンタの注射を始めて4ヶ月が経ちました。
花粉症と皮膚のかゆみは例年に比べて落ち着いています。
この間、半年ぶりに会った知り合いの方に肌がツヤツヤしている?と言われました。

当院でもプラセンタ注射を始める患者さんが増えています。
アレルギー、耳鳴、腰痛、肩こり、冷え症、脊柱管狭窄症、更年期、疲れやすさ、うつなど・・・
様々な症状の患者さんたち・・・ 良くなる方、現状維持の方、それぞれですけど

院長の考えでは、ワンクールとして3ヶ月は続けてみるとよいとのことです。
上に挙げたような症状は、命に直接かかわるわけではないので、第三者からは軽視されがちです。
しかし、ご本人にとっては生活の質を低下させる耐えがたい症状である場合も多いのです。

他の治療法で改善が見られないような場合には、是非院長にご相談ください。
解決の糸口が見つかるかも知れません。

看護師 山本明代

2012.07.04更新

当院スタッフの糖質制限(低炭水化物)食体験記・・その5

糖質制限(低炭水化物)食で減量に成功しましたが、筋肉量を増やしてリバウンドしにくい体を作るため、腹筋を1日50回ほどやっています。
と言っても、実のところ腹筋がうまくできないのですweep

最初のころは肩が床から5cmくらいしか上がっていませんでした。家族に「それは腹筋じゃない」といわれる始末・・・
それでも「継続は力なり」で今では15cmぐらいは上がるようになりました。
いつの日かちゃんとした腹筋運動ができるようになることが今の目標です。

何か良いアドバイスがありましたら教えてください。

スタッフA

2012.07.03更新

筋肉疲労に効くアミノ酸

私の趣味はスノーボードです。
毎年12月~5月までは毎週末滑りに行っています。

しかし、決して若くない私・・・
1日滑った後かなり体力を消耗し、翌日の月曜の朝、体がえらくて起きられないこともしばしば・・・

そこで、アミノ酸のサプリメントを飲むことにしました。
必須アミノ酸の9種類のうち3種類はBCAA(分枝鎖アミノ酸)と呼ばれ、筋組織の保護や回復に役立つとされアスリートに注目されています。

これを飲み始めてから体力の回復が速くなったような気がします。
アミノ酸はこのほかにも肌の老化を防いだり、自然な眠りをもたらしたりと、いろいろな働きがあります。

当院で扱っているサプリメントは、医療機関でしか扱えないサプリメントです。医薬品と同等の厳しい基準に適合した工場で作られた確かな品質のものですので、安心してお求めください。
この他にもいろいろなサプリメントがありますので、興味のある方は一度相談にお越しください。

事務    阪野 知子

2012.07.02更新

糖尿病の基礎(その3):糖化現象と血糖コントロールの指標

人間の体を構成しているタンパク質とブドウ糖が結合する現象を糖化と呼んでいます。
血糖値が高くなると、糖化されるタンパク質も増加します。糖化現象により、それぞれのタンパク質の正常な機能が失われ、これが糖尿病の合併症や老化につながると考えられています。

どれぐらい糖化が進んでいるかは、次のような糖化タンパクを測定することで推測することができます。これらは血糖コントロールの指標となるだけでなく、合併症の危険性を評価するという意味でも重要です。

①HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
赤血球の中にあって、酸素を運ぶ役割を持つ色素がヘモグロビンです。このヘモグロビンが糖化したものがHbA1cです。
赤血球の寿命と関係するため、過去2ヶ月間の血糖の平均値を反映します。赤血球の寿命が短くなる一部の貧血などでは、実際よりも低い値となることがあります。

②GA(グリコアルブミン)
血液中のタンパク質の半分以上を占めるのがアルブミンで、糖化したアルブミンをグリコアルブミンと言います。
過去2週間程度の血糖の平均値を反映するので、治療開始初期や治療を変更したときには、HbA1cよりも有用な指標となります。


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