院長ブログ

2013.06.30更新

通年性アレルギーの原因は?

花粉症は2月から3月のスギ花粉症、3月から4月のヒノキ花粉症など、人によって悪化する季節がはっきりしていますが、最近は1年中鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、くしゃみ、咳、皮膚の発疹やかゆみなどのアレルギー症状を訴える方が増えています。この場合はハウスダストが原因であることが多いのです。

ハウスダストとは、屋内に発生する様々なアレルゲンの混合物であり、主なものはダニ、猫や犬などのフケ、ガやゴキブリなどの昆虫の死骸や糞、コウジカビなどの真菌が含まれることが知られています。

通年性のアレルギー症状に悩んでおられる方は、まずアレルゲン検査(採血で簡単にできます。自己負担は3割負担の方で5000円程度です。)を受け、原因となっているアレルゲンを明らかにすることが大切です。例えば、ダニが原因であることがわかれば、滞在時間の長い寝室をより念入りに掃除するべきですし、ガが原因の場合にはクローゼットや台所回りを意識して掃除する必要があります。

このように、原因のアレルゲンをはっきりさせることで、より具体的な対策が立てられるようになり、生活の質の向上につながります。

2013.06.29更新

米国糖尿病学会がインクレチン関連薬に関する声明を発表!

「米国糖尿病学会(ADA)は6月10日、血糖降下薬として用いられているインクレチン関連薬の開発または販売を行う全ての製薬会社に対して、各社のインクレチン製剤に関する患者レベルのデータを、独立レビューのために提供し、「インクレチン製剤が膵炎や膵癌の発生に寄与しているか否か」という疑問の解決を促進するように要請した。

 インクレチン関連薬は、GLP-1受容体作動薬やDPP-4阻害薬などの血糖降下薬などであり、単剤または他の治療薬との併用により、糖尿病コントロールを改善し、体重の減少を促進する。最近の公表文献により、2型糖尿病患者における膵炎や膵癌の発生に対する、インクレチン関連薬の寄与の可能性に関して、活発な議論が行われるようになってきている。

 患者が、医師に相談した上で、治療法に関して可能な限り至適な意思決定を行えるようにするためには、治療法に関して判明しているリスクとメリットを、患者に全て知らせる必要がある。

 行政データベースの登録データの解析では、インクレチン関連薬の投与が、膵炎に関連しないこと、またはわずかに関連することが示唆されていたが、肥満や飲酒との関連性よりは弱いものである。また、剖検組織標本を用いた最近のケースコントロール試験では、インクレチン関連薬の投与を受けた2型糖尿病患者における膵臓の腫瘍性変化の発生率が、糖尿病を有さない被験者群、またはインクレチン関連薬以外の治療薬の投与を受ける糖尿病患者群よりも、高くなっていたことが示唆された。ただし、この解析には方法上の問題点も存在していた。」  (m3.com 米国学会短信 2013.6.18.より)

記事の中に出てくる「剖検組織標本を用いた最近のケースコントロール試験」とは、今年の4月15日のブログでご紹介したDiabetesという糖尿病の一流誌に掲載された論文のことです。この論文をきっかけとして、インクレチン関連薬と膵癌・膵炎との関連に関する議論が活発化しているというわけです。こうした流れをアメリカ糖尿病学会も無視できなくなったということでしょう。
今後、SU剤や長時間作用型インスリンと同様に「関連性あり」との結論が出る可能性もあるわけですから、現状ではDPP-4阻害薬の安易な使用は避けたいところです。

糖尿病治療は、あくまでも食事療法、運動療法を中心にして、必要最低限の薬物療法を併用するという姿勢が大切です!

2013.06.21更新

プラセンタの恩恵を受けるのは人間だけではありません!

人間を除くすべての哺乳動物は、出産すると体力を回復させ母乳の分泌を促すために、本能的に自分の胎盤を食べてしまうことが知られています。このことから、プラセンタ治療が広く哺乳動物全般に効果を発揮するであろうことは容易に想像がつきます。

実際、最近では動物病院にやってくるペットの治療や健康維持のためにプラセンタが使用されるケースが増えています。その結果、人間と同様に「毛の艶が良くなった」 「食欲が増した」などの報告が多くなされています。

老若男女を問わずに使用できるプラセンタですが、動物にまでも恩恵をもたらす幅広い効果には驚かされます。

2013.06.19更新

腸と栄養・・その5

前回までに、腸の機能低下が様々な病気の原因となることをご説明してきました。このような「腸機能の低下」の原因はいろいろと考えられますが、栄養の面からみると次の2点にまとめられます。

1.偏った脂肪摂取
 細胞膜は脂質で構成されているため、摂取する脂肪の質が正常な腸機能を保つために重要です。加工食品に多く含まれているリノール酸(オメガ6系脂肪酸)の摂取を控え、魚油(オメガ3系脂肪酸)の摂取を増やしたところ、腸の上皮細胞の細胞膜のアラキドン酸(オメガ6系脂肪酸)が減少し、細胞膜の組成が改善したとの報告もあります。また、脂肪を大量に摂り過ぎると、脂肪の消化吸収のために胆汁酸が大量に分泌され、腸内の善玉菌を殺してしまうため、腸内細菌のバランスが壊れてしまうという説もあります。

2.腸の上皮細胞のエネルギー源の不足
 小腸の上皮細胞の主なエネルギー源はグルタミンというアミノ酸で、主に肉や魚などのタンパク質に多く含まれているため、極端なダイエットや食が細くなりがちな高齢者などでタンパク質の不足が起こると、腸の栄養素吸収や水分調節の機能に支障をきたす場合があります。
 一方、大腸の上皮細胞は酪酸などの短鎖脂肪酸を主なエネルギー源としています。短鎖脂肪酸は、善玉菌が食物繊維を発酵・分解して作るため、食物繊維を多く含む食品(野菜、きのこ類など)の摂取が不足すると腸の粘膜の萎縮がすすみ、腸の機能が低下してしまう可能性があります。

また、栄養だけでなく、睡眠や運動によるホルモンバランスの改善も腸の機能を回復するためには非常に大切です。

2013.06.18更新

腸と栄養・・その4

最近、食物アレルギーが注目を集めています。食物アレルギーの主な原因は、食物中のタンパク質がよりサイズの小さいアミノ酸やペプチドまで分解されない状態で体内に入ってしまうことにあると考えられています。

通常は腸の上皮細胞は整然と並んでいますが、食生活の乱れなどによって細胞と細胞の間に隙間ができてしまうと、サイズが大きいタンパク質でもその隙間をすり抜けて体内に入り、異物と判断されてアレルギー反応が起こると推測されています。

食物アレルギーもまた、腸の機能の低下が原因で起こっていると言えます。

2013.06.10更新

腸と栄養・・その3

小腸や大腸は長い「消化管」の一部です。消化管は上から順に食道→胃→小腸→大腸となっています。口から入った食べ物はこの「消化管」を通過しながら分解、吸収、排泄されるのです。

小腸の粘膜を構成している上皮細胞は、体外から取り込まれたブドウ糖、アミノ酸、脂肪酸などの栄養素を吸収することが大きな仕事ですが、それ以外にも消化吸収や免疫などにかかわるいろいろなホルモンを放出しています。不規則な食生活や炎症、病原体の侵入などによって、このような小腸の上皮細胞の重要な機能が障害されると、様々な病気が起こってきます。

一方、大腸では栄養素の吸収は小腸ほどには行われませんが、大腸の中では約100兆個といわれる腸内細菌が活躍しています。
これらの細菌は小腸で分解しきれなかった栄養素を分解・吸収したり、乳酸や酪酸などの短鎖脂肪酸を作り出して腸内のpHを弱酸性に保つことで体にとって有用でない菌=悪玉菌の増殖を防いだり、大腸の蠕動運動を促して排泄物を肛門まで送り出すなど、多くの大切な役割を果たしています。大腸も小腸と同じく生活習慣の影響を大きく受けており、乱れた食生活や過度のストレス、運動不足は有用な腸内細菌=善玉菌を減らし、悪玉菌を増やして、腸内環境を悪化させるのです。

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