院長ブログ

2015.02.27更新

認知症予防と糖質制限

認知症の原因となるアミロイドβはネプリライシンという酵素によって分解されることが知られています。この酵素の活性は加齢とともに低下するため、高齢になるほど脳の細胞にアミロイドβの沈着が起こりやすくなるわけです。

最近、インスリン分解酵素にもこのネプリライシンと同じくアミロイドβを分解する作用があることが明らかになりました。インスリンが大量に分泌されていると、体内のインスリン分解酵素はすべてインスリンを分解するのに使われてしまい、アミロイドβの分解にまでまわらなくなります。

一方、糖質制限によって過剰なインスリンの分泌を抑えてやると、インスリン分解酵素がアミロイドβを分解する余裕ができてくるので、アミロイドβの沈着が起こりにくくなるというわけです。

糖質制限認知症予防の有望な手段の一つであると言ってもよいでしょう。

2015.02.24更新

スギ花粉の飛散が本格化しています!

今週に入って気温が上がり、スギ花粉の飛散が本格化しています。また、タイミング悪く黄砂もやってきているようです。
当院にも花粉症の症状が悪化した患者さんが多く来院されています。花粉症に風邪やインフルエンザなどの感染症を併発する方も少なくありません。

例年スギ花粉症のある方はできるだけ早く抗ヒスタミン薬を飲み始める必要があります。
抗ヒスタミン薬による眠気やだるさが気になる方には、サプリメントの利用をお勧めします。

まず、お勧めしたいのがビタミンDです。ビタミンDは骨を丈夫にすると同時に免疫系を調整して安定化させる作用があります。ですから花粉症やアトピー性皮膚炎のようなあれえるぎー性疾患に有効です。特に、花粉症で鼻づまりがひどい方には速効性があります。

次にお勧めしたいのが、有胞子乳酸菌です。腸内細菌のバランスが崩れている方(悪玉菌>善玉菌)は、腸の粘膜のバリアーが弱くなり、食物の中のさまざまなアレルゲンが血液中に入りやすくなります。こうした現象が花粉症やアトピーの悪化にもつながるわけです。有胞子乳酸菌をサプリメントとして摂取することで腸内細菌のバランスがよくなり、腸の粘膜のバリアー機能が回復するため、花粉症やアトピーの改善が期待できます。特に普段から下痢しやすい、あるいは下痢と便秘の繰り返しであるというような方にはお勧めです。

2015.02.17更新

花粉症を放置すると・・・

最近、花粉症にかかっているにもかかわらず、ご本人にその自覚がなく、放置している方が目立ちます。
「2週間以上も風邪が治らず、鼻づまり、咳やのどの不快感が続いている」というような方は、ほとんどが花粉症です。
花粉症を放置していると、鼻腔や咽頭の粘膜にアレルギー反応による炎症が持続的に起きているため、粘膜のバリアー機能が弱くなり、ウィルスや細菌が侵入しやすくなります。この結果、副鼻腔や咽頭に感染がおこり、「長引く風邪」のような状態になるわけです。もちろんインフルエンザにもかかりやすくなりますよ!

花粉症を放置した場合のもう一つのデメリットは、鼻づまりや鼻水のために勉強や仕事に対する集中力が低下することです(これをimpaired performanceと言います。

やはり、花粉症と診断されたら早めに薬物治療を開始し、原因となっている花粉の飛散が完全に収束するまで、十分な期間にわたって続けるのがよいでしょう。花粉症のお薬で眠気が出て勉強や仕事の能率が落ちるのを心配される方が多いのですが、最近は眠気の少ない抗ヒスタミン薬が出ているので心配は不要です。

「花粉症かな?」と思ったら、お気軽に当院にご相談ください。

2015.02.15更新

レビー小体型認知症の権威 小阪憲司先生の講演を拝聴して・・

昨日、ウェスティン名古屋キャッスルホテルで認知症の研究会があり、レビー小体型認知症の発見者である小阪憲司先生の特別講演を拝聴する機会に恵まれました。

小阪先生は名古屋大学附属病院に勤務していた1970年代の前半に、担当していた認知症の患者さんにアルツハイマー型認知症とは少し違う症状が見られたのが気になり、その患者さんが亡くなられた後にご家族の同意を得て病理解剖をされました。そして、大脳皮質に多くの「レビー小体」があるのを発見されました。その後、日本の他の施設でも留学先のドイツでも同様の症例を多数経験され、学会や論文で繰り返し発表されましたが、なかなか認められませんでした。それでも辛抱強く研究を続け、最初の論文発表から20年を経て、1996年にやっと国際学会で「レビー小体型認知症」として認められ、その診断基準が制定されました。しかし、その後もレビー小体型認知症はなかなか認知されず、専門医でも誤診が多いのが実情であり、先生は全国での講演や介護者家族交流会などを通じて、この病気の啓蒙を続けておられるとのお話しでした。

ここまでお話をうかがって、小阪先生が真摯に患者さんと向き合って、長年の苦労の末に新しい疾患の概念を確立されたストーリーは非常に感動的だったのですが、話題が「レビー小体型認知症の治療」に及ぶと様相は一変しました。

小阪先生は、「レビー小体型認知症ではアルツハイマー型認知症以上に脳内のアセチルコリンが減少しているので、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬が治療薬の第一選択であり、現状で保険適応があるのは一種類のみなので、まずはその薬を使いなさい、効果が不十分なら一日10mgの最高用量まで増やしなさい。」と述べられました。
当院では最近、レビー小体型認知症で当該薬剤を服用していてパーキンソン症状が悪化して歩けなくなり、それに対してパーキンソン病治療薬が処方され、その結果として今度は幻視・幻覚が増悪してしまい、家族が困って相談に来られるケースが増えています。こういう例は、まずそのお薬をやめることでほとんど改善するのを経験しているので、こうした副作用に全く言及されない小阪先生のお話には違和感を感じざるを得ませんでした。

小阪先生以外の演者たちも皆口をそろえて、「レビー小体型認知症にはまずそのお薬を使う」の一点張りです。閉会の挨拶に立った某大学の神経内科の教授に至っては、「レビー小体型認知症の認知度が一層高まり、その結果当該薬剤がより多く処方されるようになることを祈念している」というような内容で会を締めくくったのです。

この研究会を主催したのがそのお薬を販売しているE社なので、こうした内容は当然と言えるのかもしれませんが、レビー小体型認知症の患者さんを真剣に介護しているご家族が聴いたら、気分を害される方も多いのではないかと感じました。

何とも複雑な気持ちで会場を後にしました。

2015.01.24更新

花粉症の人は口腔アレルギー症候群(OAS)に注意!

花粉症の原因となる花粉と共通の抗原性を持つ食物が原因となって起こる口腔粘膜の即時型アレルギー反応を、OAS(口腔アレルギー症候群)と呼びます。多くの場合野菜や果物が原因となります。

カバノキ科(ハンノキ、シラカンバなど)の花粉症にはバラ科の果物(リンゴ、モモ、など)に対するOASが、イネ科(カモガヤ、オオアワガエリ)やキク科(ブタクサ、ヨモギ)の花粉症にはメロン、スイカなどに対するOASが、ヒノキ科(スギ、ヒノキ)の花粉症にはトマトに対するOASが合併しやすいことが知られています。

血液検査(特異的IgE検査)によって花粉症の原因となるアレルゲンをはっきりさせておくと、OASを誘発しやすい食物の予測に役立ちます。この検査は簡単な採血でできますので、気になる方はお気軽に院長やスタッフにご相談ください。

2015.01.23更新

花粉症の季節が近づいてきました

1週間ほど前から、例年スギ花粉症のある方が鼻水や鼻づまり、目のかゆみといった症状を訴えて来院されるケースが散見されます。

日本気象協会の花粉飛散予測によれば、2015年春のスギ花粉の飛散開始は例年並みか若干早いということで、2月上旬に九州・四国・東海地方から花粉シーズンが始まるようです。ですから、現在はまだスギ花粉は飛散していないことになりますね。

では、なぜスギ花粉症の人たちに症状が出ているのでしょうか?

スギ花粉症の患者さんの約半数がスギ以外の花粉で症状を発症することが知られています。今の時期ですと、スギ・ヒノキと並ぶ春の樹木であるハンノキの花粉が一足先に飛散を開始しているので、1週間ほど前から花粉症を発症している人達はハンノキの花粉に反応している可能性が高いと思われます。

例年、スギ花粉症のある方は、できるだけ早く花粉症のお薬を飲み始めたほうがよいでしょう。お気軽にご相談ください!

2015.01.20更新

認知症の予防・治療にココナッツオイルが効く!

進行したアルツハイマー型認知症の患者さんの脳では、エネルギー源であるブドウ糖がうまく利用できなくなっていることが最近の研究で明らかにされました。進行した糖尿病と同じような状態が脳内で起こっているわけです。欧米でアルツハイマー型認知症が「脳の糖尿病」と呼ばれているのはこうした理由からです。

このような研究成果に基づいて、ブドウ糖に代わる脳のエネルギー源としてケトン体が注目されています。
ケトン体は厳しい糖質制限をすると体内で合成が増えることが知られていますが、飽和脂肪酸の一種である中鎖脂肪酸を摂取することでもケトン体が増えます。

アメリカの最新の研究で、中鎖脂肪酸を摂取することでアルツハイマー型認知症が予防・改善できることがわかっています。そして、ココナッツオイルにはこの中鎖脂肪酸が多量に含まれています。

ココナッツオイルは認知症の予防・改善の新しいツールとして期待されているのです。

2015.01.05更新

糖尿病・糖質制限に関する勉強会のお知らせ

来る1月31日に「健康講座:糖尿病治療の新しい考え方」と題して、糖尿病糖質制限に関する勉強会を開催します。

当院に通院されている方、および一般の方が対象です。
糖尿病の患者数は戦後60年余りの間に40倍近くに急増しています。
また、高齢者の糖尿病も増加しています。
国民病となりつつある糖尿病についてわかりやすく解説します。

開催日:平成27年1月31日(土)14:30~16:00(受付 14:00~)
会場: 小早川医院
(名古屋市昭和区前山町1-19 つばめ前山町ビルA棟1F)

〈内容〉
 ・なぜ糖尿病が急増しているのか?
 ・糖尿病予備軍と言われたら・・
 ・薬に頼りすぎている現在の糖尿病治療
 ・糖尿病食事療法の新しい考え方;糖質制限食
 ・糖尿病の合併症
 ・高齢者の糖尿病の特徴
 ・糖尿病治療の目標は?

♦お申し込み方法:お電話またはFAXで下記までお申し込みください。
FAXの場合は、お名前、ご住所、電話番号を明記してください。
お車でお越しの方は、駐車場をご案内しますのでお申しつけください。
 小早川医院  TEL(052)752-0800   FAX(052)752-0805
(定員になり次第締め切らさせていただきますので、お早目にお申し込みください。)

2014.12.31更新

今年1年、ご愛読ありがとうございました

今年は当院にとっても大きな意義のある一年でした。このブログで不十分ながらもコツコツと発信してきた情報がきっかけとなり、当院の医療に広がりができた一年であったと思います。

当院が行っている、食事療法(糖質制限)を柱として薬をできるだけ減らすという糖尿病治療に注目していただくことができ、4月、6月には週刊文春の、7月には中日新聞の取材を受けました。その記事を見て、現在受けている糖尿病治療に疑問や不安を抱いた患者さんが数多く来院されました。名古屋市以外からの来院も多く、当院の治療方針に共鳴していただける方が多いことに喜びを感じるとともに、責任の重大さを痛感しております。今後も、健康長寿につながるより良い糖尿病治療を目指したいと思います。

また、患者さんと介護者の両方を救う認知症治療(コウノメソッドに基づく認知症治療)が軌道に乗った一年でもありました。アリセプト、リバスタッチパッチ、レミニール、メマリーという4種類の認知症治療薬の適切な使用、米ぬか由来の期待のサプリメント;フェルガードの活用、グルタチオンやニコリンの注射など、いろいろな戦略を駆使して認知症の進行を懸命に抑えた一年であったと言えます。まだ不十分な部分もありますが、多くの患者さんとそのご家族に感謝の言葉をいただきました。これを励みに、来年は一層研鑽を積んで、よりよい認知症医療をご提供します。

来年も今年以上に質の高い医療情報を、このブログを通して発信してゆきますので、ご期待ください。
特に、期待の認知症予防法である芸術療法・回想法についても当院で行うべく準備中ですので、順次情報発信してゆきます。注目していただけるとありがたいです。

皆様、良いお年をお迎えください。

2014.12.30更新

認知症と嗅覚の関係

アルツハイマー型認知症では物忘れよりも嗅覚障害(匂いがわからなくなる)が先行することが知られています。
匂いがわからなくなると、好きだったものでも全く食べなくなってしまうこともあります。

なぜこうなるかというと、嗅覚と記憶には深い関係があるからです。人間の脳の中には「嗅覚野」という匂いを感じ取る部位があり、これが隣接する「嗅内野」という部位を介して記憶をつかさどる「海馬」とつながっています(アルツハイマー型認知症では海馬の萎縮よりも先にこの嗅覚野に変性が起こると考えられています)。匂いを嗅ぐことで嗅覚野が刺激され、その刺激が嗅内野を介して海馬まで届くことによって、記憶がよみがえるのです。

例えば花の匂いを嗅いで、以前に行ったことのあるどこかの場所を思い出すように、匂いが記憶を呼び起こすわけです。匂いを嗅ぐことが脳に良い刺激を与えることになります。

嗅覚障害はあるが記憶は正常である段階では、嗅覚を刺激することがアルツハイマー型認知症の予防につながると考えられています。お香やアロマテラピー、料理の香辛料など、個々の好みに応じていろいろな香り刺激を試してみるとよいでしょう。

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