院長ブログ

2012.12.21更新

インフルエンザの流行始まる!今年はA香港型が主流

「国立感染症研究所は21日、全国約5千の定点医療機関から報告された10~16日の1週間のインフルエンザ患者数が1医療機関当たり1・17人になり、全国的な流行開始の指標である1・00を初めて上回ったと発表した。」(共同通信社のニュースより)

いよいよ今シーズンもインフルエンザの流行が始まりました。厚生労働省によると、この時期の流行入りは平年並みで、検出されたウイルスでは、昨シーズン同様A香港型が多いとのことです。

2012.12.17更新

脂質代謝を改善するレスベラトロール

先日京都市で開かれた第33回日本肥満学会で、奈良女子大学の井上裕康教授らは、ぶどうの皮などに多く含まれるポリフェノールの一種、レスベラトロールが生活習慣病の予防に働く可能性を示しました。

レスベラトロールは1940年にわが国で初めて、バイケイソウという植物の根から抽出された天然化合物です。
井上教授らは、レスベラトロールが脂肪の燃焼(=脂肪酸の酸化)を促すことを培養細胞を用いた実験や動物実験で証明しました。
また、レスベラトロールのこのような作用は習慣的に運動することでさらに増強されることも明らかにしました。

レスベラトロールをサプリメントとして摂取し、同時に習慣的に運動することにより生活習慣病を効率よく予防できる可能性があると言えそうです。・・・次回に続く

2012.12.16更新

アスタキサンチンで脂肪肝の進行が抑制される?

京都市で開かれた第33回日本肥満学会のシンポジウム「食品の機能と肥満症」で、生活習慣病の予防にサプリメントが有効であることを強く印象付ける報告が行われました。

その中から、今日はアスタキサンチンの脂肪肝進行抑制効果についてお話します。

わが国の成人の4~5人に1人が発症するとされる非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は単純性脂肪肝の段階と脂肪性肝炎(NASH)の段階に分けられます。
過食、運動不足などのライフスタイルの乱れによって肝臓への脂肪蓄積が起こり単純性脂肪肝が生じます。この状態が続くとしだいに肝臓の炎症、線維化が起こり、脂肪性肝炎(NASH)に進行します。NASHの状態になった人の5~20%は肝硬変になります。
単純性脂肪肝からNASHへの進展にインスリン抵抗性や酸化が関係していることが動物実験で明らかになっていますが、一方でインスリン抵抗性改善薬はNASHの予防に有効でないという臨床研究のデータも最近出されており、NASHへの進展を防ぐ治療法は確立されていません。

金沢大学の太田先生はNASHの動物モデルにアスタキサンチンを投与した結果NASHの進展が抑制されたと報告しました。
アスタキサンチンは果物、野菜、魚介類に豊富に含まれるカロテノイドの一種で、抗酸化作用、炎症抑制作用に加えてインスリン抵抗性改善作用や線維化を抑制する作用を持っており、これらの作用によりNASHの進展が抑えられたのではないかと推測されています。

アスタキサンチンは脂肪肝以外にも、糖尿病や認知症に対する効果が期待されている有望なサプリメントです。効果を証明するデータも着実に増えつつあります。当院でもご紹介できますので、興味のある方はお気軽にご相談ください。

次回ブログでは、今話題の「レスベラトロール」についてお話しします。ご期待ください・・

2012.12.07更新

新世代の糖尿病薬 DPP-4阻害薬を生かす運動療法

運動すると筋肉で糖が多く利用されるようになり血糖値が低下します。また、長期間にわたって定期的に運動を続けるとインスリン感受性が改善する(インスリンが効きやすくなる)ことが知られています。

最近、運動すると小腸からのインクレチンの分泌が増加することがわかってきました。どのような運動が効果的にインクレチンの分泌を促進するかは今後の検討課題ですが、運動がインクレチンの分泌増加を介してDPP-4阻害薬の治療効果を増強する可能性が大きいと考えられます。

2012.12.05更新

新世代の糖尿病薬 DPP-4阻害薬を生かす食事療法

12月3日のブログでご説明したように、DPP-4阻害薬による血糖降下作用は、小腸から分泌されるインクレチンに依存するため、インクレチン分泌を促進することは、その分解を抑制するDPP-4阻害薬の効果を増強することにつながります。
インクレチン分泌は、食事に含まれる種々の栄養素が小腸内分泌細胞を刺激することにより促進されます。現在までに、ブドウ糖などの単糖類、グルタミンなどのアミノ酸、α-リノレン酸やエイコサペンタエン酸(EPA)などの脂肪酸がインクレチン分泌を促進することが明らかにされています。 

関西電力病院の矢部先生は、DPP-4阻害薬を服用している2型糖尿病の患者さんの食事内容を調査した結果、魚類の摂取量が多いほどHbA1cの改善効果が大きいことを報告しました。これは魚類に含まれる栄養素が小腸のインクレチン分泌を促すためと考えられます。

さらに、矢部先生は炭水化物を摂取する前にサバの水煮を摂取するとインクレチン分泌が促進され、炭水化物摂取後の血糖上昇が抑制されることも明らかにしましいた。乳清蛋白(乳からカゼインと乳脂肪などを除いたもの)を炭水化物の前に摂取することで血糖上昇を抑制しうるとの報告もあります。 

良質な脂質や蛋白質を多く含む食品を、炭水化物を多く含む食品の前に摂取することによって、DPP-4阻害薬の効果を高めることができると考えられます。

2012.12.03更新

新世代の糖尿病薬 DPP-4阻害薬を生かすには?

食事をすると小腸からインクレチンという物質が分泌され、これがすい臓を刺激してインスリンを分泌させ、食後の血糖の上昇を抑えます。

新世代の糖尿病薬であるDPP-4阻害薬はこのインクレチンが分解されるのを抑えることにより血液中のインクレチンの濃度を高めて糖尿病の患者さんの血糖値を下げます。
これまでの糖尿病薬に比べて血糖の下がり過ぎ(低血糖)の危険が少なく、かつ確実に血糖値が下がるため、3年ほど前に最初のDPP-4阻害薬が発売された後、瞬く間に普及し、現在わが国では治療中の糖尿病患者さんの50%以上にあたる約250万人がこの薬で治療されています。
この間、製薬メーカー各社が競って開発した結果、現状では5種類ものDPP-4阻害薬が使用可能となっています。
DPP-4阻害薬は糖尿病の薬物療法を大きく変革しつつあると言えるでしょう。

一方で食事・運動療法がうまく実践できていない患者さんではこの薬の治療効果が十分に発揮されないことも事実です。
DPP-4阻害薬の治療効果は、他の糖尿病薬に比べて食事・運動療法の影響を受けやすいようです。
DPP-4阻害薬は決して安い薬ではありません。ですから、十分な食事・運動療法を実践せずに薬だけを服用するのは医療費の無駄使いと言えます。

次回のブログでは、DPP-4阻害薬の効果を最大限に発揮させる食事療法についてお話しします。・・・次回に続く

2012.11.29更新

プラセンタ(胎盤)の神秘

プラセンタ注射の原料となる胎盤に関する面白いコラムを見つけたのでご紹介します。

胎盤の神秘 父の威厳
胎盤のことを古くは「胞衣」(えな)といった。日本人ほどへその緒と胎盤に執着する民族はない。天皇の胎盤はとりわけ呪術的に扱われ秘かに埋められ「胞衣塚」がつくられた・・・。(中略)
胎盤を埋納する呪術は明治20年代までは日本人一般のものでもあった。人に踏まれる場所に埋める地方も多かったという。
赤子は埋められた胎盤の上を最初に踏んだものを恐れるようになる。父親が埋めた胎盤の上を最初に踏みつけ、父の権威を確立するまじないが行われた。(中略)
昔のように胞衣の埋納儀礼をやり胞衣塚を作ることはできない。それどころか胎盤はプラセンタ注射となって、老いるはずの女性たちの若々しさを保つ魔術に使われている。そして埋めた胎盤の上を踏めなくなったこの国の父親は弱くなった。
(読売新聞コラムより抜粋)

父親が弱くなった原因が胎盤の上を踏めなくなったためかどうかは別として、確かにプラセンタは女性を若返らせます。しかし、女性だけにとどまらず弱くなったお父さんたちのアンチエイジングにも役立つのです!

 

2012.11.28更新

アスタキサンチン・・・期待の認知症予防・改善物質(その5)

サケやカニの赤い色はアスタキサンチンという天然の色素によるものです。アスタキサンチンは抗酸化作用、抗炎症作用、脂肪を燃焼させる作用を持っているため、内臓脂肪を減少させてインスリンを効きやすくし、糖尿病やメタボを改善します。また、眼精疲労の改善、持久力アップなど様々なアンチエイジング効果が期待されています。

これらの働きに加えて、アスタキサンチンには脳の認知機能を改善する効果があることも最近の研究で明らかになってきました。
順天堂大学の白澤教授らは、物忘れの自覚のある50歳から69歳の男性10人に1日12mgのアスタキサンチンを12週間のんでもらい、その前後で認知機能検査を行ったところ明らかな改善が認められたと報告しています。

アスタキサンチンも認知症予防のサプリメントとして有望です。

2012.11.27更新

ビタミンD・・・期待の認知症予防・改善物質(その4)

10月29日のブログでビタミンDの骨代謝以外の多彩な作用をご説明しました。その中の一つ、ビタミンDのアルツハイマー型認知症の予防効果を証明する論文をみつけましたのでご紹介します。

ビタミンDサプリメントを摂取しなかった平均年齢79.8才の498人の女性を対象にして食物由来のビタミンD摂取量が食物頻度アンケートを使用して判定されました。この研究結果では、研究開始時にビタミンD摂取量が少なかった(1週間当たり平均50μg)女性たちは、摂取量が多かった(1週間当たり平均59μg)女性たちに比較して7年後のアルツハイマー病の発症頻度が明らかに高かったことが確認されました。

このことから、サプリメントとしてビタミンDを摂取することで、認知症の予防効果が期待されます。

2012.11.26更新

クルクミン・・・期待の認知症予防・改善物質(その3)

ショウガ科のウコン(英名:ターメリック)はカレーのスパイスとして知られていますが、クルクミンはウコンに約2~5%含まれる色素で、天然の食用色素として広く用いられ、FDA(アメリカの厚生省に相当する省庁)によりその安全性が確認されています。

クルクミンはポリフェノールの一種であり、抗酸化作用、抗炎症作用、抗ガン作用、肝臓保護作用、血栓形成抑制作用など、多くの有用な作用が報告されています。

クルクミンのアルツハイマー型認知症に対する有効性の基礎的な研究がUCLAの研究者により2001年から精力的に行われています。その成果として、クルクミンがアルツハイマー型認知症のモデルマウスの脳内のアミロイド蛋白(アルツハイマー型認知症の原因となる蛋白質)を分解することがわかってきました。

2008年、Baumらは、アルツハイマー型認知症の患者さんにクルクミン1日4gを6カ月間服用してもらった結果、1か月目から脳内のアミロイド蛋白の分解産物が血液中に増えてきた、すなわちクルクミンによって脳内のアミロイド沈着が改善したことを報告しました。

クルクミンは認知症の新しい治療戦略の一つとして期待されています。

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