院長ブログ

2016.07.26更新

腸内細菌叢と病気との関係

以前から病気と腸内細菌の関連性が指摘されていましたが、最近、腸内細菌のDNAの塩基配列を自動的に解析できる装置:「次世代シーケンサー」が開発されたことにより、腸内細菌叢と病気との関係が次々と明らかになってきました。

腸内細菌叢の異常が関与していると考えられている疾患には次のようなものがあります;
大腸癌, 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病など), 過敏性腸症候群(IBS), 抗生剤による下痢, 肝臓疾患(ASH,NASH), 肥満, 2型糖尿病, アレルギー疾患, 自閉症などの精神疾患, 多発性硬化症

腸内細菌叢は食事、抗生物質の投与, 下痢や便秘, 感染そしてストレスなどによって大きな影響を受けます。これらの因子が「腸内細菌叢の多様性」を低下させるのです。

当院でお勧めしている乳酸菌・ビフィズス菌のサプリメントはこのような腸内細菌叢の多様性を回復するのに役立ちます!

2016.06.28更新

プラセンタで梅雨を乗り切りましょう!

どんよりとした梅雨空が続いていますね。何となく体がだるい、疲れやすいと感じている方が多いのではないでしょうか?
その原因は、梅雨の時期の低気圧です。低気圧が自律神経のバランスを崩し、血行を悪くしているのです。
そんな症状で悩まれている方にはプラセンタ注射やプラセンタサプリメントがお勧めです!

プラセンタは自律神経を調節する作用があるので、梅雨時のだるさを抑え、活力を与えてくれます。
興味のある方はお気軽に院長やスタッフにご相談ください。

2016.06.26更新

全世界の糖尿病人口が35年間で4倍に急増!

世界保健機構(WHO)の主導で実施された全世界規模の疫学調査によって、世界の糖尿病人口は1980年から2014年の35年間で、1億800万人から4億2200万人と約4倍に増加したことが明らかになりました。日本の糖尿病人口はこの期間に470万人から1080万人と2倍以上に増加しましたが、全世界の糖尿病人口に対する比率では4.4%(5位)から2.6%(7位)に低下しました。

2014年時点での糖尿病人口のトップ5は中国、インド、米国、ブラジル、インドネシアで、全世界の糖尿病患者の約50%がこれら5か国に住んでいるということになります。

糖尿病人口の増加速度は高所得国よりも低~中所得国で大きくなる傾向が明らかでした。所得の低い国では交通機関も不便で家事の負担を軽減する家電製品も普及していないので、高所得国よりも運動量は増えるはずですが、それ以上に最も安価に手に入る栄養素である糖質(炭水化物)の消費量(特にジャンクフードやファストフードに由来するもの)が多くなっているのではないかと推測され、これが糖尿病の発症率の急上昇につながっているのではないでしょうか?

子供のころから肥満・糖尿病になりにくい食習慣を身につけさせるための「食育」が今後いっそう重要性を増してくるでしょう。医学と栄養学がタッグを組んで糖尿病の予防に取り組む必要があります。その際に、「糖質の摂取量をコントロールする」という糖質制限の原理が大きな役割を果たすでしょう。

2016.06.24更新

認知症治療薬の投与量の適正化に大きな一歩!

去る6月1日、厚生労働省は国保中央会と社保支払基金に対し、認知症治療薬の投与量に関して重要な事務連絡を行いました。
その内容は、添付文書に定められているよりも少ない用量で認知症治療薬が投与されたからという理由で、画一的に査定(保険点数の請求を認めないこと)を行うのではなく、レセプト(診療報酬の請求書)に記載されている少量投与の理由も検討した上で、個々の事例を医学的に判断して審査することを求めるものでした。

これによって、認知症治療薬の投与量を主治医の裁量で自由に決められるようになったわけではありませんが、合理的な説明さえつければ低用量の処方が認められるということであり、投与量の適正化に向けての大きな一歩といえるでしょう。抗認知症薬の副作用で苦しんでいる方が非常に多い現実を考えると、認知症の患者さんやその介護者にとっては大きな福音ですね。

昨年秋に結成された「抗認知症薬の適量処方を実現する会」(代表:長尾和宏先生)による政治家への積極的な働きかけが早くも功を奏しているようです。今後、この会がさらに大きな影響力を持つようになり、それが認知症ののよりよい治療につながることを期待したいと思います。

2016.06.05更新

『健康に良い』オメガ3脂肪酸の落とし穴

えごま油や亜麻仁油に多く含まれるαリノレン酸や魚油に多く含まれるEPA,DHAなどのオメガ3脂肪酸は、悪玉コレステロールを下げて動脈硬化を予防することがわかっており、最近『健康に良い脂肪酸』として注目されています。当院でも糖尿病やメタボで糖質制限をされている方の栄養指導で、良質の脂質としてえごま油、亜麻仁油、魚油をお勧めしています。糖質制限食では糖質を減らす代わりに脂質の摂取を増やす必要があるので、摂取する脂質の質は非常に重要なのです。

但しここで一つ注意しなければならないポイントがあります。それは、これらのオメガ3脂肪酸は常温~高温では非常に酸化されやすいということです。

オメガ3脂肪酸は酸化されると毒性の強い過酸化脂質になります。大部分は消化管で分解されて毒性が弱められますが、数%は体内に吸収され細胞の機能異常を引き起こすことがわかっています。それが動脈硬化や認知症につながると考えられています。

えごま油、亜麻仁油、魚油などのオメガ3脂肪酸を多く含む油を保存する際には、密封して冷蔵保存する必要があります。そして加熱用の使用は避けなければいけません。

糖質制限食について詳しくはこちらをご覧ください

2016.04.30更新

糖尿病性骨粗鬆症

骨量が減少して骨が脆弱になり、わずかな外力でも骨折しやすくなった状態を骨粗鬆症と呼びます。加齢によって骨の脆弱性は増してゆきますが、糖尿病になるとその速度が増すことがわかっています。その結果、糖尿病の患者さんではそうでない人に比べて2~4倍も骨折のリスクが高いといわれています。糖尿病に合併した骨粗鬆症は「糖尿病性骨粗鬆症」と呼ばれています。骨密度が正常であっても骨折のリスクが高いのが特徴です。

糖尿病性骨粗鬆症の原因は以下のようにまとめることができます。

1.高血糖による「糖化」によりコラーゲンの化学構造が変化し、骨のしなやかさが失われることにより骨の強度が低下する。
2.インスリン作用の不足により骨形成が正常に行われないため骨量が減少する。
3.肥満を伴う糖尿病では、脂肪組織が増加してそこから多くのステロイドホルモン(糖質コルチコイド)が分泌されます。これが骨吸収をする破骨細胞を増殖させるため、骨量が減少してしまう。

糖尿病性骨粗鬆症を予防するためには適切な糖質制限、運動、薬物療法によって食後高血糖や肥満を防ぎ、インスリン抵抗性を改善することが重要です。

 

2016.02.16更新

今年もスギ花粉症の時期がやってきました

今年は例年より少し早めにスギ花粉の飛散が始まったようです。当院では、1月中旬から例年スギ花粉症で悩んでおられる方が鼻水や目のかゆみを訴えて来院されるようになりました。

昨年夏の日照時間がその前の年に比べて長かったため、東海地方のスギ花粉の飛散量は昨年よりもかなり増えると予想されています。

鼻や眼に少しでも違和感を感じたら早めに抗ヒスタミン薬の服用を始めるのが、花粉症のシーズンを快適に乗り切るコツです。そんな時は当院にご相談ください。

2016.02.14更新

インフルエンザの流行が本格化!

2月8日ごろから、インフルエンザで来院される患者さんが急増しています。
今年は暖冬のためかインフルエンザの流行が遅れていたのですが、いよいよ本格的な流行期に入ったようです。

今年のインフルエンザの特徴は、何といってもA型とB型が同時に流行し始めたということです。当院ではA型:B型=3:1ぐらいの割合です。もう一つの特徴は、A型、B型ともに比較的体温が低いことです。37度台前半でインフルエンザと診断された患者さんもかなりいらっしゃいます。

予防は、何といっても人混みを避けることです。
うがい・手洗いも大切ですね。インフルエンザは空気感染と思われていますが、意外にも、手に付着したウィルスが口、鼻、眼などの粘膜を通じて体内に入り、感染が成立することが多いようです。
それと、体力を充実させておくこと。免疫力を上げるためにビタミンDのサプリメントを摂取するのもよいでしょう。
また、花粉症や鼻炎のコントロールができていないとインフルエンザにかかりやすくなるので、注意が必要です。

それでも発熱してしまった場合には早めに診察を受けてください。当院では、通常のインフルエンザウィルス検出キットよりも8倍ほど感度の高い方法で検査を行っていますので、発熱後間もない時期でもインフルエンザの診断が可能です。

2016.01.13更新

糖尿病患者さんの低血糖と認知症・・その3

今日は「糖尿病患者さんの低血糖と認知症の関係」というテーマの最終回です。さっそく3例目の実例をご紹介します。

71歳男性, 独居, 元工場労働者です。現役時代は非常にまじめで仕事熱心な方で、会社から表彰された事もあります。
2008年に心筋梗塞のため某病院でバイパス手術を受けた際、偶然2型糖尿病を指摘されました。退院後は、糖尿病専門のクリニックに通院していました。超速効型インスリンを朝食前4単位, 昼食前6単位, 夕食前6単位自己注射し、2種類のお薬を内服していましたが、インスリン注射は自主的に夕食前の6単位のみに減らした状態で2012年に当院に転医されました。「インスリン注射をしていると何となく体がだるく、お腹が空いて仕方がないのでやめたい」というのが当院にかわってこられた理由でした。初診時、HbA1c 6.2%, 食後1時間の血糖値 104mg/dl, 1,5AG17.5μg/mlとすべてが正常範囲内でした。患者さんの訴えておられる倦怠感や空腹感は低血糖が原因である可能性が高いと考え、インスリンを中止して内服薬の内、1種類も徐々に減らして中止としました。代わりに低血糖を起こしにくい別のお薬を内服してもらいました。この結果、倦怠感や空腹感は消失し、HbA1cは少し上がって6.5~7.0%になりました。「あなたのお歳ならHbA1cはこのくらいで十分ですよ」と説明して経過を見ていたところ、1年ほどしてHbA1cが急上昇し始め、数か月で8.5%に達しました。時を同じくして、執拗に夜中の頻尿を訴えるようになりました。泌尿器科を受診しても前立腺肥大など、特に頻尿の原因は見当たらないとのことでした。糖質制限の栄養指導も繰り返し行いましたが、甘いものが我慢できず、血糖コントロールはなかなか改善しませんでした。

2015年春、「父親が生まれて初めて万引きをしてしまった」と娘さんが信じられないという顔をして相談に来られました。認知症のテスト(長谷川式)をしてみたところ、25/30点と軽度の認知機能の障害が見られました。頭部のCTでは前頭葉と側頭葉の萎縮が年齢不相応に強いことがわかりました。これらを総合して「ピック病」と診断しました。

この方は明らかな低血糖発作はなかったものの、当院に転医する前に潜在的な低血糖状態を繰り返していたことは明らかです。この時の脳のダメージが3年後のピック病の発症の引き金になった可能性が高いと思います。

以上、3回にわたって低血糖が認知症発症の誘因になったと考えられる3例の実例をご紹介しました。
高齢者の糖尿病では自覚症状がはっきりしない低血糖が起こりやすいので、若い人よりも緩めに治療目標を設定すること、そして低血糖を起こしにくい治療法を選ぶことが重要です。

2016.01.11更新

糖尿病患者さんの低血糖と認知症の関係・・その2

昨日に続いて、糖尿病患者さんの低血糖と認知症の関係を示す実例をご紹介します。

2例目は85歳の男性です。元会社員で勤勉そうな印象の方です。2005年から2型糖尿病で某クリニックに通院して糖尿病の薬を飲んでいましたが、薬の種類が次第に増えていくのが気になり、薬を減らすことを希望されて2013年に同居の娘さんに付き添われて当院を受診されました。初診時、HbA1c5.6%, 食後2時間の血糖値112mg/dlで、糖尿病治療薬として3種類のお薬を服用していました。明らかな低血糖症状はないものの、「最近何となく元気がない」、「物忘れがひどくなってきた」と娘さんは訴えられました。認知機能検査では長谷川式は24/30点、ADASは12.4点と認知症といえる状態でした。

この年齢でSU薬とグリニドを併用してHbA1cが5.6というのはあまりにも危険すぎると考えました。おそらく、慢性的に低血糖を起こしているでしょう。そこで低血糖を起こす危険性の大きい2種類の薬を全面的に中止しました。するとHbA1cは7前後まで上昇し、一見糖尿病が悪化したように見えましたが、ご本人およびご家族には「元気が出てきたと」喜ばれました。客観的に見ても表情に活気が出てきたのです。1年後に再度認知機能検査をしてみたところ、長谷川式は24点から28点に、ADASは12.4点から8点に、ともに大幅に改善していました!もちろん、認知症の治療薬は全く使用していません。

慢性的な無症状の低血糖が、この患者さんの認知機能を一時的に低下させていた可能性が高いと考えています。今回は薬の中止により認知機能はかなり改善しましたが、長期間の低血糖のダメージは消えたわけではないので、今後も認知症の悪化に細心の注意を払って行く必要があります。

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