院長ブログ

2012.03.20更新

糖尿病コントロールの指標 HbA1c の国際標準化・・その2

(3月18日のブログより続く・・)
HbA1cの国際標準化に伴って、糖尿病コントロールの基準も以下のように変わってきます。

HbA1c(国際標準値) コントロール状態
        6.1以下        優
                     6.2~6.8        良
                     6.9~8.3        可
        8.4以上        不可

この基準で、優か良の状態を保っていれば、糖尿病の3大合併症(腎症、網膜症、神経障害)が起こる可能性は非常に低いと言えます。

2012.03.18更新

糖尿病コントロールの指標 HbA1c の国際標準化・・その1

HbA1cは代表的な血糖コントロールの指標であり、糖尿病の治療を受けている方はよくご存知の検査です。このHbA1cの測定法に関しては、これまで国際標準化がなされておらず、同じ検体であっても、日本で広く使用されている測定法による測定値(JDS値)と、米国を中心とする諸外国での測定値(NGSP値)を比較すると、JDS値がNGSP値より0.4低い値を示していました。

日本糖尿病学会では、糖尿病の診断・治療・研究のグローバル化を重視し、今回、HbA1cの国際標準化に踏み切りました。

JDS値とNGSP値の差を是正するために、JDS値に0.4を加えた値を国際標準値とし、4月1日以降、国内でのHbA1cの表記は国際標準値に統一することになりました。

以上をまとめると・・・   HbA1c(国際標準値)= HbA1c(JDS値) + 0.4
(但し、国際標準値はNGSP値に相当する値だが、
測定法はJDS値と同じであるから、NGSP値その
ものではない。)

ちなみに当院の院内検査では、従来よりNGSP値を使用していましたので、国際標準化の後も、測定値に変化はありません。

 

2012.03.16更新

花粉症対策のサプリメント・・その2(有胞子乳酸菌)

乳酸菌は腸内細菌のうちの善玉菌(プロバイオティックス)の代表です。乳酸菌とは、糖を分解して乳酸を産生することによってエネルギーを作り出す細菌の総称で、多くの種類があり、よく知られているビフィズス菌も乳酸菌の1種です。

乳酸菌やビフィズス菌は、腸内で乳酸、酪酸を産生します。乳酸や酪酸は、腸管を刺激するため、腸管の蠕動運動が活発になり、便通がよくなります。

また、乳酸菌は腸管内の胆汁酸やコレステロールを吸着することにより、血中のコレステロールを低下させます。

さらに、最近では、乳酸菌が花粉症の症状緩和に有効であったという報告が各地からなされています。実際に、当院でも花粉症の患者さんに乳酸菌のサプリメントを服用していただき、効果をあげています。

但し、乳酸菌は、熱や酸に弱いことが多く、服用しても生きたまま腸にまで届きにくいことや、製造や保管の過程で生菌数が減少して行くなどの問題があり、性能の維持が難しいサプリメントです。そこで、当院では胃酸でも死滅せず、生きて腸に届く特殊な胞子を作る乳酸菌(有胞子乳酸菌)をお勧めしています。このサプリメントは、1日当たりのコストが約70円と、カップ入りヨーグルトよりも安価であることも魅力です。花粉症で悩まれている方は是非ご相談ください。

2012.03.13更新

花粉症対策のサプリメント・・その1(EPA/DHA)

今年もいよいよ、花粉症の季節が始まりました。そこで、今日からしばらくは、花粉症に効果が期待できるサプリメントをいくつかご紹介します。

1.EPA/DHA

花粉症をひきおこす炎症物質として、オメガ6系脂肪酸であるアラキドン酸から作られるロイコトリエンやプロスタグランジンがあります。オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸は、代謝の過程で共通の酵素を必要とするため、オメガ3系脂肪酸を多く摂取すると、これらの炎症物質が作られにくくなることになります。
このような理由で、花粉症などのアレルギー症状で悩んでいる方には、EPA/DHAという形でオメガ3系脂肪酸を十分に摂取することをお勧めします。
ただし、EPA/DHAは魚油から作られていますので、原料の段階で水銀などの重金属が含まれないことを確認する必要があります。

2012.03.11更新

微量ミネラル(その4)・・鉄(Fe)

食物中の鉄の吸収率が低いこともあり、鉄は不足しやすい栄養素です。閉経前の女性は、生理出血が定期的にあるため、鉄が欠乏しやすいです。また、ダイエット中の女性、妊娠中の女性、成長期のお子さん、激しいスポーツをする方は、鉄の摂取量に注意が必要です。

鉄は ①赤血球をつくる ②エネルギーを生み出す ③酸化を防ぐ という、3つの大切な役割を持っています。
血液検査で「貧血」と診断されなくても、潜在的に鉄が不足しているために、だるさ、疲れやすさ、めまい、頭痛、冷え、息切れ、脱毛などの多彩な症状を訴えられる方は意外に多いです。

私たちが、食べ物から摂取する鉄には、おもに穀物や野菜に含まれる「非ヘム鉄」と、肉やレバーなどの動物性食品に含まれる「ヘム鉄」があります。「非ヘム鉄」はむき出しの鉄なので、消化管の粘膜に対する刺激が強く、摂取すると約1割の方に腹部う、下痢、便秘、食欲低下などの副作用が起こります。また、腸からの吸収もよくありません。一方、「ヘム鉄」では、鉄がむき出しではなくポルフィリンという有機化合物に囲まれているため、胃や腸の粘膜を刺激することもなく、「非ヘム鉄」に比べて5~10倍も吸収率が高いです。

鉄不足解消のためには、貯蔵鉄である血液中のフェリチンを増やす必要がありますが、そのためには通常の食事以外に、サプリメントとして少し多めの鉄を摂取する必要があります。
鉄の補給には、副作用がなく、吸収率のよい「ヘム鉄」のサプリメントがお勧めです。

2012.03.10更新

微量ミネラル(その3)・・セレン(Se)・銅(Cu)

①セレン(Se)
セレンは、ビタミンEやSODなどと共に、抗酸化システム(生体が錆びつくのを防ぐシステム)に重要な役割を担っており、生活習慣病の引き金になる活性酸素の発生を抑制し、細胞組織の酸化や老化を防ぐ働きがあります。また、血圧をコントロールする「プロスタグランジン」の生成にも関与したり、有害重金属の毒性を軽減する働きや、精子の形態維持などの作用もあります。
セレンは海藻類、魚介類、肉類、卵黄に豊富に含まれており、海産物を多く摂取する日本人では、通常の食事をしていれば欠乏する可能性は低いと考えられています。

②銅(Cu)
銅は成人の体内に約80mg存在し、そのうち約50%が筋肉や骨、約10%が肝臓に分布しています。銅は多くの種類の酵素の働きになくてはならないものであり、エネルギーの産生や鉄の代謝、コラーゲン、エラスチンの成熟、神経伝達物質の産生、活性酸素の除去などの多彩な働きをしています。
銅の欠乏症には鉄剤を服用しても効果のない貧血、白血球減少、好中球減少、骨異常、成長障害、神経系の異常、コレステロール・糖代謝の異常などがあります。
銅は、イカやエビ、貝類、牛レバー、ナッツ類などに多く含まれています。

2012.03.10更新

当院でのローカーボ(糖質制限)食への取り組み・・その1

当院では1年ほど前から糖尿病やメタボリック症候群の患者さんにローカーボ(糖質制限・低炭水化物)食の栄養指導を行っています。医師の限られた診察時間の中ではわからない、患者さんの生活の様子や食事の嗜好等、ゆっくり対話しながら指導しています。時には、話が弾んで40分近くかかることもあります。患者さんの反応はおおむね良好で、今まで食事療法に全く興味のなかった方が、やる気になっていただけた例も多く、2回目の指導を受けた方もいらっしゃいます。「この食事療法は自分には無理」といった拒否反応はほとんどありません。

先日、名古屋で日本ローカーボ食研究会の第2回学術集会が開催され、当院からは院長と私を含めたスタッフ2人が参加しました。
今回の学術集会では、多くの施設からローカーボ食に導入されたいろいろな患者さんに関する発表がありましたが、各施設の苦労や創意工夫がぎっしり詰まっていて、大変勉強になりました。このような研究会で多くのケースを知ることが、今後の私たちの栄養指導のレベルアップにつながると思いました。また、ローカーボ食という新しい治療法を発展させていくためには、施設間の情報交換が大切であることも実感させられました。(次回に続く)

管理栄養士  小早川 宏江

2012.03.07更新

微量ミネラル(その2)・・マンガン(Mn)

マンガンは、多くの酵素(マンガン-SOD, 乳酸脱水素酵素, アルギニン分解酵素)の構成成分として、糖質・脂質・蛋白質の代謝にかかわると同時に、抗酸化作用も持っています。また、骨の石灰化を促す働きがあり、カルシウム、リンとともに、骨の形成にかかわっています。また、その他、生殖や成長、および脳機能にも関係があります。マンガンが不足すると、骨代謝、糖・脂質代謝、運動機能、皮膚代謝に影響があります。マンガンは、青のり, きくらげ, 生姜, 干しエビ, アーモンドなどに多く含まれています。

2012.03.03更新

微量ミネラル・・・量は少なくても重要な栄養素

前回ご紹介した亜鉛は微量ミネラルの一つです。今回はその微量ミネラルについてご説明します。

体内に存在する量はわずかですが、とても大事な働きをしている栄養素にビタミンやミネラルがあり、その中でも特に量が少ない物に「微量ミネラル(トレースミネラル)」があります。

ミネラルは生体組織の構成や、生理機能の維持・調節に必要な微量栄養素です。人間の体では作ることができないため、食物などから摂取する必要がありますが、それぞれのバランスが大切で、多すぎても少なすぎてもよくありません。
ミネラルの中で、人の体内に存在し、栄養素として欠かせないことが確定しているものを必須ミネラルといい、そのうち1日の摂取量が概ね100mg以上のものを主要ミネラル(カルシウム、マグネシウムなど)といい、100mg未満のものは微量ミネラルに分類されます。

微量ミネラルには、鉄、亜鉛、クロム、セレン、マンガン、銅があります。すでにご説明したクロム、亜鉛以外の4種の微量ミネラルについては、次回以降、詳しくお話ししたいと思います。

2012.02.29更新

見逃されがちな亜鉛欠乏

亜鉛は生体にとって必須のミネラルで、酵素の活性化、皮膚の新陳代謝、成長・発育、ホルモンの合成・分泌、舌の味蕾の形成など、多彩な働きを持っています。しかし、健診や医療機関での日常的な血液検査の項目には含まれていないので、欠乏していても見逃されていることが多いのが実情です。

亜鉛欠乏症の症状は多彩で、味覚障害、嗅覚障害、食欲不振、口内炎・舌炎、褥瘡、慢性の下痢、さまざまな皮膚病・皮膚のかゆみ、元気がない、などです。これらの症状は亜鉛を数カ月服用することで改善する場合が多いです。
また、亜鉛は細胞分裂や核酸の合成にも深く関与していることから、傷の治癒の促進、皮膚の代謝(コラーゲンの合成)の改善、精子の産生や機能の改善、脱毛・発癌・老化の予防などの効果も期待されています。

当院では、糖尿病以外の患者さんでも、亜鉛欠乏を疑わせる症状が少しでもある場合には、血液中の亜鉛濃度をチェックし、実際に欠乏していれば、亜鉛の補充をお勧めしています。亜鉛の補充には、前回もご紹介した胃潰瘍治療薬のプロマック® または亜鉛のサプリメントを使用しています。先ほど挙げたような症状でお悩みの方は、是非ご相談ください。

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