院長ブログ

2013.09.13更新

男性に対するプラセンタの効果

男性ホルモンであるテストステロンの代謝産物「ジヒドロテストステロン」の過剰分泌が前立腺肥大や前立腺がんの原因となりますが、その過剰分泌をプラセンタエキスが抑制するという報告があります。これはプラセンタの持つ「調整作用」によるものと考えられています。

ジヒドロテストステロンの過剰分泌は男性の薄毛の原因になることもわかっていますので、プラセンタは前立腺肥大や前立腺がんの進行を抑制するとともに、薄毛にも有効であると考えられます。

男性にもプラセンタは有効なのです!

2013.09.04更新

レビー小体型認知症

三大認知症といえば、「アルツハイマー型認知症」、「レビー小体型認知症」、「脳血管性認知症」を指しますが、最近特に注目を集めているのが「レビー小体型認知症」です。1976年にこの疾患を世界で初めて報告したのは横浜市立大学名誉教授の小坂憲司先生です。

その後、世界各地で同様の症例が報告され、1995年にCDLBというレビー小体型認知症の国際的研究グループが結成され、その翌年にはレビー小体型認知症の臨床診断基準(CDLBガイドライン)が発表されました。それからまだ17年しか経過していないわけですから、医師の間でレビー小体型認知症がまだあまり知られていないのも当然のことかもしれません。

CDLBガイドライには、レビー小体型認知症の様々な特徴が網羅されています。
この診断基準によれば、「認知障害」は必須条件で、その他に「幻視」「パーキンソン症状」「認知機能の変動」の3つの症状のうち2つを満たすとレビー小体型認知症の可能性が高いとされます。その他にも注目すべき特徴として、「転倒・失神」「幻覚・妄想」「うつ」「後頭葉の血流低下」などの症状が挙げられています。

このように多彩な症状を呈するレビー小体型認知症は、「レビー小体」というタンパク質の蓄積が原因で起こります。この物質は今から100年ほど前にドイツのミュンヘン大学でF・レビーによって発見されました。
有名なパーキンソン病もレビー小体を原因とする病気です。レビー小体型認知症とパーキンソン病を合わせて「レビー小体病」と呼びます。

レビー小体型認知症とパーキンソン病は兄弟の様な関係にあるわけですが、病理学的にみると、大脳皮質を中心にレビー小体が広範囲に分布しているのがレビー小体型認知症です。一方、パーキンソン病ではレビー小体は主に脳幹に分布しています。こうしたレビー小体の分布の違いが、症状の違いや診断の相違につながっているわけです。

2013.09.01更新

認知症の「とりつくろい」について

認知症になった人を見てそのご家族が「本人はボケてしまって何も分からないから良いけれど、介護する私たちは振り回されてかなわない」と訴えられるのを時々耳にします。本当にそうでしょうか? 
今日は、認知症になった人の心理を考えてみたいと思います。

認知症になるということは、記憶が失われることで生じた困難の中で、必死になってその事態に対処しようとしては挫折し、混乱と不安の中で生きてゆくことにほかなりません。認知症の人の心理を理解するためには、こうした「対処」、「不安」、「混乱」をしっかりと理解する必要があります。

アルツハイマー型認知症に良く見られる「とりつくろい」も失われて行く記憶に対する「対処」の一つです。「とりつくろう」とは、認知機能の低下に伴って生ずる不都合な部分を隠してうわべを整えようとすることであり、これは他者の目を意識しているからこそ生ずる行為です。ですから、認知症の人たちは「自分だけの世界で生きている人たち」ではなく「周囲の目を気にしすぎるほど気にして生きている人たち」なのです。

認知症の患者さんを介護されているご家族の方には、是非この点を理解していただいて患者さんに寄り添っていただけると、患者さんも介護者もより happy になれると思います。

2013.08.18更新

認知症;糖尿病でない人でも血糖が高いほどかかりやすい!?

糖尿病が認知症のリスクを増大させることは良く知られています。それでは、糖尿病でない人の場合には、血糖値は認知症のリスクに影響を与えるでしょうか?この疑問に答える論文が、世界で最も権威ある医学雑誌; New England Journal of Medicineに掲載されました。

研究の対象となったのは、認知症になっていない平均年齢76歳の老人2067人です。このうち232人は糖尿病を患っていました。

この人たちを平均6.8年間観察した結果、524人(糖尿病の人74人, 糖尿病でない人450人)に認知症が発症しました。糖尿病でない人の中で認知症を発症した人の過去5年間の平均血糖値は115mg/dlであったのに対し、認知症を発症しなかった人の平均血糖値は100mg/dlでした。糖尿病でない人でも血糖が高いほど認知症になりやすいという結果でした。

糖尿病の人についても認知症を発症した人の平均血糖値は190mg/dlであったのに対し、認知症を発症しなかった人の平均血糖値は160mg/dlでした。

このように、糖尿病の人でも糖尿病でない人でも、血糖値が高いほど認知症にかかりやすいことが明らかになったわけです。
糖尿病でない人でも、やはり炭水化物の摂り過ぎは良くないということでしょう。糖質制限食は糖尿病の食事療法としてはもちろん重要ですが、認知症を予防し老化を防ぐ食事療法でもあるわけです。

2013.08.15更新

プラセンタを肥料にしたお米・野菜が登場!

プラセンタが注射、サプリメント、化粧品などに用いられていることは一般的に知られていますが、プラセンタを肥料として栽培されたお米、野菜が出回っていることはご存じない方が多いのではないでしょうか。最近では、プラセンタで育った「こしひかり」まで登場しています。

これらの農産物は、福井県産のブタのプラセンタを配合した有機肥料を使用し、農薬は使用せずに栽培されているとのことです。プラセンタ配合肥料で育てた野菜は、通常のものより甘みがあり、生き生き育つそうです。

プラセンタは、今後ますます多くの場で活躍することになりそうです。

2013.08.13更新

糖尿病の死亡リスクが大幅に減少!

2000年以前に発表された多くの研究では、糖尿病患者の死亡リスクは一般人口に比べて約1.8倍であるとされてきました。
今回、カナダ・トロントの女子大学リサーチセンターのLipscombe博士らは1996年~2009年におけるカナダ・オンタリオ州のヘルスケア関連データベースと英国のThe Health Improvement Network (THIN)のデータベースを用いて、糖尿病患者の非糖尿病患者に対する死亡率比の経時的変化について検討しました。対象者は約875万人(1996年)~約1269万人(2009年)という大規模な研究です。

その結果、1996年時点では糖尿病患者の死亡リスクは非糖尿病患者の1.90倍(オンタリオ州)、2.11倍(THIN) であったが、2009年にはそれぞれ1.51倍、1.65倍に低下していたことがわかりました。

Lipscombe博士らは、糖尿病患者の死亡リスクの低下傾向の背景には、次のような要因があるとみています。
1. 糖尿病患者に対して厳格な血糖管理や血圧管理が行われるようになったこと。
2. 心血管病を防ぐ目的でコレステロール低下薬(スタチンなど)が広く用いられるようになったこと。
3. 糖尿病の早期発見・早期診断が可能になったこと。

2013.08.09更新

糖尿病の高齢者の特徴

高齢になると身体活動量が低下し、内臓脂肪が増え、筋肉量が減少し、 インスリン抵抗性の増大(インスリンが効きにくくなる)と食後のインスリンの追加分泌の低下が起こります。そのため、高齢の糖尿病患者さんでは、食前の血糖値は正常でも食後の血糖値が高くなる場合が多いのが特徴です。

さらに、高齢の糖尿病患者さんは、糖尿病の無い人と比べて転倒、身体機能の低下、認知機能の低下、うつ、尿失禁などの”老年症候群”を2~3倍多く起こすことがわかっています。

高齢者糖尿病の治療では血糖の大きな変動(低血糖、高血糖)をできるだけ避け、身体活動量を増やし、本人が肯定的な態度で糖尿病と付き合えるように周囲が心理的にもサポートしていくことが大切です。

2013.08.08更新

書評;本当は怖い「糖質制限」

なんだかちょっと前の某人気歌手のヒット曲の様なタイトルですね。「糖質制限はやめなさい!」という副題がついています。
○○○がブームになるとそれに対するアンチテーゼとして「○○○はやめなさい!」という本が出るというのは、最近の出版界の定石となっているようです。

東大医学部卒、ハーバード大学やクリーブランドクリニックでの研究歴といった華麗な経歴を持つ著者が書いた糖質制限に対するアンチテーゼ!いかにも売れ筋ですね・・

しかし、その内容は最近の極端な糖質制限の危険性を示す論文を羅列したあげく、あたかも糖質制限がすべて危険であるかのような印象を与える記述となっています。我々の推進する「ゆるやかな糖質制限」は無視された形です。しかし、冷静に読んでみると、動物性脂肪・タンパク質を中心とした極端な糖質制限で死亡や発がんのリスクが高まるということを言っているわけで、私が1年半ほど前からこのブログで述べてきたことと本質的には変わらない内容であることがわかります。ただ、この著者の方がよりセンセーショナルに書いているということでしょう。

私は、著者が推薦している地中海ダイエットの炭水化物比率を40から45%程度に低下せさせた食事が糖尿病食としては理想的だと考えています。ハーバードのHu教授らの、「植物性脂肪・タンパク質中心のゆるやかな糖質制限食は死亡リスクをむしろ低下させる」という大規模研究の成果をみれば「ゆるやかな糖質制限までやめなさい!」とは決して言えないはずです。

2013.08.07更新

糖尿病性腎症と言われてもあきらめる必要はありません

糖尿病の三大合併症として腎症、網膜症、神経障害が知られています。
このうち、糖尿病性腎症は尿中に排泄されるアルブミンというタンパク質の量が1日当たり300mgを超えると「顕性腎症」と呼ばれ、この状態になるといくらしっかりと治療しても腎障害の進行を止めることはできないと考えられてきました。

ところが最近、顕性腎症となっても、治療が可能であるというデータがいろいろな医学雑誌で報告されるようになってきています。

今年6月に’Diabetes Care’という雑誌に北海道で開業医をされている横山宏樹先生の論文が掲載されました。
これによると、2002年から2008年に横山先生のクリニックを受診された糖尿病患者さん2500人のうち、初診の時に顕性腎症であった患者さんは211人でした。この患者さんたちを次のような目標を設定して治療しました。

①HbA1c 7.0%未満   ②血圧 130/80未満  ③総コレステロール(TC) 200mg/dL未満  ④トリグリセライド(TG) 150mg/dL未満  ⑤HDLコレステロール(HDL-C) 40mg/dL以上

この結果、平均4.5年間の観察で1年間以上尿中のアルブミンが300mg/日未満となった患者さんは58.3%に達しました。
実に半数以上の患者さんが顕性腎症の状態を脱することができたわけです。

糖尿病の発症初期から良好な血糖コントロールを保って、顕性腎症にならないようにするのが一番ですが、たとえなってしまった場合でも、諦めずに血糖、血圧、脂質のコントロールをしっかりと行えば腎障害の進行は防げる事をこのデータは示しています。

2013.08.04更新

夏は血圧の下がり過ぎに注意しましょう

昨日のブログで降圧薬をしっかりと服用して血圧をコントロールすることの重要性をお話ししましたが、一方で、血圧の下がり過ぎにも注意が必要です。中でも糖尿病の方や高齢の方は、血圧が下がった時に血管の収縮反応が不十分なため、血圧が極端に下がって内臓の虚血状態(血液が十分に供給されない状態)が起きることがあります。

初夏から夏にかけては、特に血圧が下がりやすいので注意が必要です。

もともと腎臓が悪い方(CKDの方)では、夏の間の血圧の下がり過ぎによって腎臓が虚血状態となり、糸球体濾過量(GFR)が低下するケースも多いようです。

血圧の下がり過ぎを防ぐためには、家庭血圧の記録が必須です。診察室での血圧は高めに出ることも多いので、それだけを指標に降圧薬を調節すると、自宅では血圧が下がり過ぎる可能性もあるのです。

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