院長ブログ

2014.10.29更新

糖尿病予備軍でも癌のリスクが増える!

①空腹時血糖100~125mg/dL ②糖負荷試験2時間値 140~199mg/dl HbA1c5.7~6.4% のいずれかに該当する状態を前糖尿病と言います。(いわゆる糖尿病予備軍ですね) 
最近、中国の研究者たちが約90万人の人を対象にして調査を行ったところ、前糖尿病全体ではのリスクが15%も上昇することがわかりました。上記の①に当てはまる人では49%、②に当てはまる人では25%の癌のリスクの上昇が示されました。
癌の種別では肝癌>胃・大腸癌>子宮癌の順でリスクが上昇することがわかりました。肺癌、前立腺癌、卵巣癌、腎癌、膀胱癌に関しては統計学的に意味のあるリスクの上昇は見られませんでした。

最近、糖尿病の患者さんで癌のリスクが上昇するという報告が相次いでいましたが、この研究では前糖尿病と癌の関連が初めて明らかにされたわけです。「境界型糖尿病」、「糖尿病予備軍」と言われている人は、まだ糖尿病になっていないからと言って甘く見てはいけませんね!

2014.10.27更新

緑茶をたくさん飲む人は認知症になりにくい!

緑茶の摂取量と認知症のリスクの関係に関する興味深い研究結果が発表されたのでご紹介します。

60歳以上の人490人を、緑茶を飲む頻度によって3つのグループに分け、それぞれのグループで認知症を発症した人の割合を調べました。
毎日緑茶を飲む習慣のあるグループでは157人中18人(11.5%)、週に1~6日緑茶を飲むグループでは195人中29人(14.9%)だったのに対し、緑茶を全く飲まないグループでは138人中43人(31.2%)でした。
緑茶を飲んでいる人の認知症を発症するリスクは飲んでいない人の3分の1~2分の1であることがわかりました。
研究者たちは、緑茶に含まれるカテキンなどのポリフェノール類が認知症発症のリスクを低減させれている可能性があると考えています。
ちなみに、コーヒー、紅茶についても同様な研究が行われましたが、これらが認知症発症リスクを低減させる効果は見いだされませんでした。
今後、緑茶に含まれる天然化合物の作用が解明されれば、有効な認知症予防法の開発につながるかもしれませんね。

2014.10.22更新

認知症セミナー「認知症で悩まないために」を開催します

軽度認知障害(MCI=Mild Cognitive Impairment)とは、記憶力の低下は見られるものの、他の認知機能に障害がなく、日常生活に支障をきたしていない状態のことをいいます。

筑波大学准教授の内田和彦先生は、自らたち上げたMCBIというバイオベンチャー企業と連携して、軽度認知障害(MCI)の有無を血液検査で簡便に判定できる「血液診断マーカー」を開発されました。

今回、当院ではこの内田先生から軽度認知障害(MCI)と認知症について直接お話しをうかがえるセミナーを企画しました。

日時:2014年11月29日 14:30~16:30(受付開始14:00)
会場:小早川医院(名古屋市昭和区前山町1-19 つばめ前山町ビルA棟1F)

プログラム概要
1.認知症と軽度認知障害(MCI)について
    筑波大学准教授 医学医療系・産学リエゾン研究センター  内田 和彦

2.認知症の早期発見と認知症を予防する生活
    株式会社MCBI 取締役 渕木 幹男

3.最後に
    小早川医院院長 小早川裕之
 

お申込みおよびお問い合わせは小早川医院(下記)までお願いいたします。
お申し込みの際はお名前、参加人数、電話番号をお教えください。
     FAX: 052-752-0805
     mail: hiroyuki@kobayakawa.jp
     TEL: 052-752-0800(お電話は診療時間内にお願いいたします)

なお、定員になり次第締め切らさせていただきますので、お早目にお申し込みください。

認知症は早期発見・早期治療が大切です。このチャンスにぜひ認知症に関する知識を深めていただき、将来に備えてください!

 
 

2014.09.28更新

糖質制限食では一価不飽和脂肪酸が重要!(その2)

9月26日のブログをアップした後、先日、聖路加国際病院の日野原重明先生のご講演を初めて聴かせていただいたときのことを思い出しました。私なりにまとめてみると、日野原先生の健康長寿の秘訣は以下の通りです。

1. 病院内ではエレベーターを使わない。
2.朝食: フレッシュジュース+オリーブオイル30ml
   昼食: 牛乳、胚芽クッキー、リンゴ
   夕食: 少し多めに食べる(週2回は肉、その他は魚)
3.いまだに現役(多くの要職、年50回以上の講演活動、執筆活動)
   3年先までスケジュールはいっぱい!
4.趣味のピアノ演奏も続けている。
5.ご本人曰く「健康長寿の秘訣は夢を持ち続けること」

食事はまさにゆるやかな糖質制限食になっており、オリーブオイルで一価不飽和脂肪酸も十分に摂取していますね。さすがです・・
糖質制限が糖尿病やメタボの治療のみでなく、アンチエイジングや認知症の予防に役立っている最高の実例ではないでしょうか!
食事以外の部分も見習わなければいけないことばかりですね。やはり日野原先生は「高齢者の希望の星」だと思います。

2014.09.26更新

糖質制限食では一価不飽和脂肪酸が重要!

9月16~19日にウィーンで開催されたヨーロッパ糖尿病学会で、糖質制限食における脂質の摂取の仕方について興味深い発表があったのでご報告します。(今年は学会に行っている暇がなかったので、インターネットの速報で知りました。)

オランダのユトレヒト大学からの発表です。

要約: 糖質制限食で炭水化物を脂質に置き換える場合の脂質の種類に関してはいまだに議論があるところだ。この研究では6192人の2型糖尿病患者を平均9.2年間観察した。この間、791人が死亡し、そのうち心血管イベント(脳卒中や心筋梗塞、狭心症など)で死亡したのは268人であった。この集団で、炭水化物をいろいろな種類の脂質で置き換えたとき、全死亡リスクや心血管イベントによる死亡リスクがどのように変化したかを検討した。その結果、炭水化物10gを飽和脂肪酸(肉の脂身などに含まれる脂肪酸)置き換えると、全死亡リスクは増加したが、一価不飽和脂肪酸(オリーブオイルなどに含まれる脂肪酸)に置き換えるとリスクは低下した。心血管イベントによる死亡リスクは炭水化物を飽和脂肪酸または多価不飽和脂肪酸に置き換えた場合に増加した。

この研究の結果は、オリーブオイルが摂取する脂質の中心となっている地中海式食事で死亡リスクが低下したという事実に通じるものがあると思います。糖質制限食が、真の「健康長寿食」となるためには、やはり「脂質の質」にこだわる必要があるということでしょう。「炭水化物の比率を10~20%下げた地中海式食事が理想の糖質制限食である」という私の持論が裏付けられたという気がしています。

2014.09.04更新

認知症勉強会のお知らせ

わが国では、高齢化が急速に進む中、認知症の患者数が世界で最も早いペースで増えつつあります。一方、認知症の治療法は確立されておらず、医師はなかなか症状をコントロールできていないばかりか、むしろ治療薬の副作用で状態を悪化させているケースも多くみられます。結局、介護に頼ることになるのですが、核家族化のため家族の介護力は乏しく、介護職にかかる負担が年々大きくなっています。また、介護のための国家予算も膨張し続けています。

「このままでは、介護職は疲弊し日本の財政は。破綻する。」こうした危機感を持った医師たちが全国で『コウノメソッド』に基づいた認知症治療を実践しており、私もその一人です。
コウノメソッドは、30年間、認知症一筋に診療されている名古屋フォレストクリニックの河野和彦先生が長年の経験をもとに考案された新しい認知症治療法であり、薬物治療で介護の負担が最小限になるように患者さんの症状を改善させることを目標としています。

この方法を成功させるためには、日々患者さんの状態の変化に応じて薬の量や服用の仕方を微調整していかなければならないので、介護職の方にも治療法を理解していただき協力していただく事が必須条件となります。医療と介護が車の両輪となって、はじめて良い認知症ケアができるのです。

残念ながら、名古屋市内ではこの治療法を理解している医師も介護職の方もまだまだ少ないのが現状です。そこで今回、コウノメソッドを少しでも普及させるため、当院で勉強会を開催させていただく事にしました。認知症ケアの現状に問題を感じている介護職の方はふるってご参加ください。また、患者さんのご家族でコウノメソッドに興味を持たれている方がいらっしゃれば、是非ともお誘いください。

健康講座「認知症の早期発見と対策・・患者さんと介護者の笑顔のために」

開催日: 10月4日(土)   14:30~16:00(受付14:00~)

会場: 小早川医院

お申し込み方法: 電話(052-752-0800)、FAX(052-752-0805)あるいはe-mail(hiroyuki@kobayakawa.jp)までお申し込みください。お名前、参加人数、ご住所、電話番号を明記してください。お車でお越しの方はお申しつけください。駐車場をご案内させていただきます。

2014.08.30更新

腸内環境とプロバイオティックス

私たちの腸の中には1000種類以上、100兆個もの細菌が棲んでおり、これは私たちの身体を構成する細胞の数(約60兆個)よりも多いのです。

腸の中の細菌には私たちの体に良い作用をもたらす善玉菌、悪い作用をもたらす悪玉菌、そしてどちらにもなりうる日和見菌などがあります。善玉菌、またはそれらを含む製品、食品をプロバイオティックスと呼びます。

腸内の環境はこれらの菌のバランスによって決まりますが、それには食生活やストレス、薬品、生活スタイル、年齢などが関係してきます。

乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌は、乳酸や酪酸を作り、腸内を酸性にすることで悪玉菌の増殖を抑え、アンモニアなどの腐敗産物の生成を抑制します。また、乳酸や酪酸は腸を刺激して便通をよくする作用も持っています。

最近では善玉菌の免疫調節作用も注目されており、花粉症やアトピーなどのアレルギー疾患に対する効果も期待されています。

腸内環境は人によって異なるため、自分に合った乳酸菌は簡単には見つかりません。腸内環境を整えるためには、できるだけ多くの種類の乳酸菌を摂取したり、熱や酸に強く頑丈な「有胞子乳酸菌」をサプリメントとして摂取するのがよいでしょう。

2014.08.27更新

認知症高齢者の嚥下障害に対する秘策

肺炎は高齢者の死因の上位を占めていますが、その大部分が誤嚥性肺炎であると考えられています。特にレビー小体型認知症や脳血管性認知症の患者さんでは、嚥下障害から誤嚥性肺炎を起こしやすいことが知られています。また、アルツハイマー型認知症やピック病など、他の認知症でも進行すれば嚥下障害が起きてきます。

認知症の高齢者が入所している施設では、食事中にむせがあると誤嚥性肺炎を恐れるあまり比較的早めに食事を止めてしまい、鼻腔から胃まで栄養チューブを通すか、胃ろうを作ってそこから液状の栄養剤を入れて栄養状態を維持するというパターンになりがちです。しかし、口からものを食べられなくなると、たとえ栄養状態は保たれたとしても、食べる楽しみがなくなり、生活の質は大幅に低下してしまいます。

そこで、たとえ嚥下機能が低下していても、何とかむせずに口から食事ができるような工夫が必要になります。

最近の研究で、高齢者の嚥下機能は、様々な感覚を刺激することで改善されることがわかってきています。辛子の成分であるカプサイシンやミントの成分であるメンソールによる温度感覚刺激、黒コショウの香りによる嗅覚刺激、口腔ケアのブラッシングによる口腔粘膜の知覚刺激などが嚥下機能を改善することが知られています。

このうち、当院ではカプサイシンを嚥下障害の治療に用いています。
カプサイシン入りの口腔内溶解シートが製品化されており、これを毎食直前に舌の上にのせると口腔内で自然に溶解して、食事中~食後のムセが明らかに改善する患者さんが多いです。(私の感覚では8割以上の患者さんに有効です。)
サプリメントの扱いですので、費用は自費となりますが、1か月4000円程度です。

ご家族の嚥下障害でお困りの方は、ぜひご相談ください。

2014.08.25更新

認知症予防にも糖質制限がおススメです!(その2)

最近、70歳代、80歳代という高齢になってから新たに糖尿病を発症する方が増えています。

こうした高齢発症の糖尿病の特徴はやはり食後高血糖です。ただし、若いメタボの患者さんと違って食後のインスリン分泌量は決して多くはありません。加齢により膵臓のインスリン分泌はむしろ低下しているのでしょう。それと同時に糖を最も多量に取り込んでくれる筋肉の量が年齢とともに減っていきます。また、個々の細胞のインスリンに対する反応も悪くなってインスリン抵抗性も増しているのでしょう。

これらの条件が複合して、高齢者の糖尿病が発症します。
高齢の方は「もう歳だから」と肉を避けて「ごはんと野菜の煮物」といったような食事を好みがちです。しかし、このような食事ではどうしても炭水化物(糖質)の摂取量が相対的に多くなり、食後の血糖が上がりやすくなるので、糖尿病になりやすくなります。

70歳代、80歳代は認知症を発症しやすい年代でもあります。昨日のブログでご説明したように、食後高血糖は認知症
のリスクをさらに高めますから、食後の血糖をできるだけ上げないような食生活が重要です。

ですから、70歳以上になったら肉・魚・大豆製品などのタンパク質、脂質を意識的に増やし、糖質を少し減らし気味にするのがよいでしょう。といっても極端に減らす必要はなく、毎食とも主食の量を今までの3分の2に抑える程度で十分です。
また、糖質を摂取する場合には、下の図のGI(gllycemic index)が低い食品を選ぶようにすると、食後の血糖値が上がりにくくなります。

2014.08.24更新

認知症予防にも糖質制限がおススメです!

最近認知症になる人が急増し、社会問題ともなっていますが、食後の血糖値が高いほど認知症になりやすいという研究結果が数多く出されています。

この現象は次のように説明されています。

① 高血糖になると脳内の活性酸素が増えるため、脳の神経細胞が酸化されやすくなる。つまり、脳細胞が「さびやすくなる」ということですね。

② 食後に高血糖となる人では同時ににインスリンが大量に分泌される場合が多いのですが、これを分解するのに多くの「インスリン分解酵素」が消費されます。この「インスリン分解酵素」は実はアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の根本的な原因であるアミロイドベータという変性タンパク質を破壊する働きも持っていることが最近わかってきました。運動不足、過食、肥満でインスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)がある人では、当然食後に高インスリン血症、高血糖となるので、インスリン分解酵素は多量に分泌されたインスリンを処理するために消費されてしまい、アミロイドベータを破壊するほうにまわらなくなってしまうというわけです。
最近問題となっている若年性アルツハイマー病(40代という若さでで発病する人も増えています)の患者さんにメタボ・肥満の人が多いのもうなずけますね。

食後の高血糖や高インスリン血症を抑えることができる糖質制限は、糖尿病やメタボの治療だけにとどまらず、認知症の予防法としても有効であることがわかっていただけたと思います。

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